第六百二十四話 セルカーク直轄領最後の夜

 夕方前に、巡回に行っていた面々が戻ってきました。

 シロちゃんとピーちゃんは頑張ったという表情だけど、新人守備隊員と軍の兵はだいぶ疲れていますね。

 動物や魔物は程よく出ていたそうだけど、緊張していて疲れちゃったみたいです。

 その分、ピーちゃんの索敵能力が生かされたみたいです。


「あと、こいつらが豪華な昼食を食べていて、他の連中が乾パンと干し肉だったのも大きいな。でも訓練だから、自分で用意したものを食べるのが基本だ」


 部隊の指揮を執っていたベテラン守備隊員がちょっと苦笑しながら言っていたけど、シロちゃんはアイテムボックス内に色々なものを入れているし料理もできます。

 だから、二匹は美味しい昼食を堪能したそうです。

 僕たちは遠征中もいつも美味しい昼食を食べていたけど、やっぱり食事は元気の源ですね。

 セレンお姉さんたちも、こればっかりは仕方ないといった表情ですね。

 ではでは、今日の訓練はこれで終了です。

 明日の朝には出発するから、部隊の兵はこれから色々準備をするそうです。

 僕の場合は、アイテムボックスに色々収納できるから準備もあっという間なんだよね。

 そう思いながら、僕たちは代官邸に戻っていきました。


「ジェシカさん、もう出発の準備をする必要はないですよね?」

「準備は整っております。今すぐにでも出発可能です」


 止まっている部屋で準備をしているジェシカさんに話をしたけど、流石に今すぐ出発はしないですよ。

 僕は、苦笑しながら準備をしていきます。

 明日は宮廷魔導師の服を着て出発するから、生活魔法で綺麗にしておこうと。

 ちなみに、ジェシカさんの服はシロちゃんとユキちゃんが生活魔法で綺麗にしています。

 さてさて、もうお風呂にも入ったので食堂に行きます。


「レオ君も遂に出発ですか。寂しくなりますな」


 夕食を食べながら代官と話をしたけど、確かにあっという間の滞在だったもんね。

 それでも、懐かしい人と出会えて本当に良かったよ。

 両親のお墓にもお参りできたし、目的は達成出来ました。

 あっ、そうだ。


「あの、明日の朝もう一回両親のお墓にお参りしたいんですけどいいですか?」

「ええ、もちろんですよ。手配しておきましょう」


 恐らくこれが最後のお墓参りになりそうだから、もう一回行こうと思いました。

 きっと僕も、これで前に進めると思います。

 それに、僕のことを待っている人がいるからいつまでもセルカーク直轄領には居られないもんね。

 こうして、美味しい夕食を食べて明日に備えることにしました。

 明日は朝早いし、今夜は早く寝ないとね。

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