第六百話 昼食兼会食です
そして、昼食の時間になります。
食堂で食べるのは、代官、守備隊長、シルバ司祭様、部隊長、そして僕です。
ジェシカさんは侍従というのもあり、シロちゃんたちとともに別室で食べるそうです。
僕的には一緒でも良いのかなと思ったけど、主人と使用人が一緒に食事を食べる訳にはいかないと言っていました。
うーん、この辺は中々難しいですね。
「レオ君も、以前と比較して随分と食べられるようになったな」
「流石に、あの頃よりも成長したし大きくなりましたから」
「ははは、そうだな。でも、もう少し大きくなってもいい」
守備隊長さんが僕の食べる量を褒めていたけど、昔は本当にあんまり量を食べられなかったもんね。
今では、普通の子ども並に食べられるようになりました。
シルバ司祭様も、僕のことをニコニコしながら見ていました。
すると、シルバ司祭様が僕にあることを話してくれました。
「そうそう、治療を終えたらレオ君の両親のお墓に案内しよう。色々と思うところはあるだろうが、先ずは冥福を祈ることじゃ」
僕にとって、セルカーク直轄領に来た一番の目的だもんね。
でも、そう考えると随分と月日が経ったんだなあ。
更に、守備隊長さんか当時の状態を話してくれた。
「既に話を聞いていると思うが、完全に重度の飲酒による影響だな。俺たちがレオのいた村に行った時も、レオの両親はかなり酩酊した状態だった。本人たちは、美酒に酔っていただけなのかもしれない」
「それは、大変なご迷惑をおかけしました……」
「レオが謝ることじゃないぞ。それに、当人たちは全く罪の意識がなかった。財政的にも逼迫していたみたいだし、レオの件がなくても何か事件を起こしていた可能性は高いぞ」
守備隊長さんも、もうどうしようもなかったとお手上げだった。
酔っ払って村の人にも迷惑をかけていたらしく、村の人も両親に近づかなかったらしいです。
守備隊長さんはお酒で自滅した人を何人も見てきたらしく、まさに僕の両親もその状態だったそうです。
そこまで酷かったと知って、僕は思わずため息をついちゃいました。
「まあ、もうこのことでレオが悩むことはしなくていい。当人はもう処罰を受けているのだからな。冥福を祈ることは大切だが、そのことにとらわれることはやめたほうがいい」
守備隊長さんの言ったことは、確かに正解なのかもしれない。
でも、僕は両親のお墓を見てからどうしようかと決めます。
まだ、色々と実感が湧かないのが本音なんだよね。
そんなことを思いながら、僕は昼食を食べ終えました。
「では、行こうかのう」
そして、昼食後は予定通り教会の治療施設に向かいます。
シロちゃんたちとジェシカさんはもちろんのこと、元々教会に戻るシルバ司祭と護衛としてセレンお姉さんたちがついてくれます。
軍の面々は守備隊の施設に行って、守備隊長さんと部隊長さんはお互いに話をするそうです。
代官邸から歩いて教会に向かうけど、セルカーク直轄領の町並みを歩くのも久しぶりだなあ。
「おお、レオか。久しぶりだな!」
「以前と比べると、随分大きくなったわね」
「でも、雰囲気は昔から変わらないわ」
教会への道中、町の人が次々と声をかけてくれました。
僕のことを覚えていてくれて、何だかとっても嬉しいなあ。
僕も、手を振ったり返事を返したりしていました。
町の人の表情も明るいし雰囲気もとてもいいので、まさに統治がうまくいっている証拠ですね。
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