第四百二十六話 久々の再会

 翌日、僕は朝食を食べたら冒険者服に着替えて冒険者ギルドに向かいます。

 今日行くのは大教会にある治療施設なんだけど、そもそも大教会の場所が分からないので昨日に引き続いてジェシカさんがついてくれることになりました。

 せっかくなので、シロちゃんを抱いてユキちゃんとジェシカさんと共に歩いて冒険者ギルドに向かいました。

 とっても暖かくなってきて、今日は凄く過ごしやすい天気です。


「本当に王都は広いですね。歩いてみると、その広さがよく分かります」

「貴族家だけでもかなりの数がございます。商業や工業も発達しているので、庶民が住むエリアもかなり広いです」


 ジェシカさんの説明を受けながら街の様子を眺めているけど、貴族街を抜けると本当に沢山の人が忙しそうに通りを歩いています。

 市場にも沢山の品物が並んでいて、中には珍しい食べ物も並んでいました。

 出店も多く出店していて、様々な料理が売られています。

 そんな街の様子を見ながら、冒険者ギルドに到着しました。

 今日も冒険者ギルドの中は、多くの冒険者で溢れかえっていますね。

 受付に並んで僕の番になると、受付のお姉さんがあることを尋ねてきました。


「お連れの方は、冒険者登録をされていますか?」

「あっ、はい。私も一応冒険者登録をしております」

「それでは、併せて受付処理を行います。少々お待ち下さい」


 ジェシカさんは、僕をサポートする為に冒険者登録をしているんだって。

 報酬に関してはターニャさんとかに確認しないといけないけど、実績を上げるために一緒に依頼を受けるのは全然問題ないそうです。

 それに、シロちゃんとユキちゃんが一緒に頑張ろうと、ジェシカさんの側にいました。

 無事に受付も終わり、いよいよ大教会に向かいます。

 冒険者ギルドから大教会まで、歩いて十分のところにあるそうです。

 僕たちは、冒険者ギルドを出発して歩き始めました。


「あっ、目の前にとっても大きな建物が見えてきました。あれが大教会なんですね」

「ちょうど、貴族街と庶民街の教会にございます。貴族、庶民両方が教会に訪れやすいようにとの配慮です」


 サンダーランド辺境伯領にあった教会もとっても大きかったけど、やっぱり王都にある教会は更に大きいですね。

 壁も白くて入口も大きく、沢山の人が大教会に出入りしていました。

 そして大教会に近づいた時、教会の脇にあるスペースに以前セルカーク直轄領で見たことのある聖騎士団がいて、会ったことのある人も騎士服を着て集団の中にいました。

 僕は、その人に声をかけました。


「トータス副団長さん!」

「うん? その声は、レオ君じゃないか。随分と大きくなったなあ」


 トータス副団長さんは、僕の声に気付いて笑顔で僕のところにやってきました。

 他にもセルカーク直轄領に来たことのある人がいたらしく、僕の側に来て頭を撫でたり肩を叩いたりしていました。

 何だか、僕も懐かしくなっちゃいました。


「あのとても幼くて小さかった男の子が、今やこの国を代表する大魔法使いだ。常々レオ君の活躍は聞いていたよ」

「でも、各地で教会の説法に僕のやった入ったと聞きました。ちょっと恥ずかしいです」

「はは、こういうのは当人の意思とは違って大きく広がるからな。でも、レオ君が人を助けたい一心で治療をしたことは、とても褒められるべきことだよ」


 トータス副団長さんも、僕の頭を撫でながら褒めてくれました。

 知っている人に頑張ったと褒められるのって、とっても嬉しいですね。

 でも、今日は治療の依頼で来ているんだった。

 そして、トータス副団長さんも用事があるそうです。


「私たちも、直ぐに王都にある別の教会に行くことになっているんだよ。名残惜しいけど、また今度ゆっくりと話そう」

「トータス副団長さんも、お仕事頑張って下さい」

「レオ君も、治療頑張ってね。それでは」


 僕たちは、騎馬に乗って出発した聖騎士団を見送りました。

 僕も頑張らないとと思いながら、まずは教会の前にいた若いシスターさんに話しかけました。


「おはようございます。冒険者ギルドから治療施設での治療依頼で来た、レオと言います」

「あっ、はい、おはようございます。うん? もしかして……」


 シスターさんは、何かに気が付いたみたいで僕の顔を覗き込んできました。

 すると、突然慌てた様子に変わりました。

 あれ?

 何かあったのかな?


「あ、あ、あ、あのあのあの。もしかして、黒髪の天使様では……」

「そんな二つ名で呼ばれています。あと、黒髪の魔術師とか呼ばれて……」

「し、し、し、失礼しました! 直ぐに上のものを呼んできます!」


 あっ、僕が話している最中に、シスターさんがビックリした表情で教会の中に走っていきました。

 思わぬ展開に、僕たちはポカーンとしちゃいました。

 ジェシカさんは、そんな僕たちの様子を見て少し苦笑していました。

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