第四百八十三話 集魔香を使った襲撃

 たったったっ。


 急に、僕たちの近くから複数の男が近づいて来ました。

 明らかに不審な様子の為、全員剣を抜いて迎撃の準備を始めた。

 すると、一人が胸の中から何かを取り出して森の中に投げ込みました。


「ワフッ!」

「あっ、ユキちゃんが変な臭いのするものを投げ込んだって言っています」


 ユキちゃんが鼻を押さえるほどの変な臭いがしているらしく、シロちゃんも嫌な臭いがしていると主張していました。

 すると、森の中の様子が変わったのが分かりました。


 シュイン。


「あっ、周囲で様子を伺っていた動物や魔物が一斉に集まってきました!」

「集魔香だ! 奴らを生け捕りにするのと、集まってきたのを倒すぞ!」

「「「はい!」」」


 バッツさんの激に、アイリーンさんやスカラさんたち治療班も戦闘準備に入りました。

 その間に、襲ってきた不審者を新人兵が倒して拘束していきます。

 死んでは困るので、僕たちの側に連れてきました。

 すると、シロちゃんが森の中に入っていきました。


「あっ、投げられたのを回収してくれたみたいです。臭いで分かったそうです」

「こいつはぶっ壊して回収だ。そろそろ来るぞ」


 臭いが出ないように破壊して、アイリーンさんが魔法袋の中に入れました。

 動物や魔物を引き付ける臭いは、もうこれで大丈夫です。

 でも、集まってきた動物や魔物は倒さないといけません。

 ここからは、僕たちも戦闘に参加します。


 ガサガサ。


「「「ガルル!」」」

「戦闘開始!」


 まず初めに、興奮状態のオオカミが多数襲ってきました。

 でも、オオカミ対策はバッチリです。


 シュイン、バリバリ!


「「「ギャウン!」」」

「エリアスタンで行動不能にします。トドメを刺して下さい」

「「「はっ、はい」」」


 急に目の前のオオカミが魔法で倒れたので新人兵も戸惑っているけど、あまりかまっている余裕はありません。

 その後も、次から次へとオオカミやイノシシが僕たちを襲ってきました。

 更に、一部の鳥なども襲ってきます。

 僕たちはバインドなどを使用して、新人兵を巻き込まないように安全に倒せるように補助して行きました。

 こうして、三十分以上に渡って激しい戦闘が繰り広げられました。


「よ、ようやく落ち着いた……」

「し、死ぬかと思った……」


 突然の戦闘に新人兵は疲れてしまって、思わず地面にペタリと座り込んでいました。

 幸いにして怪我人はいなかったので、治療班の出番はなかった。

 追加の動物や魔物が現れないようにと、シロちゃんが血抜きを進めていました。

 森からは他にもスライムが現れて、シロちゃんと一緒に血抜きをしていた。

 なにしろ、倒した獲物が山盛りてんこ盛りです。

 血抜きを終えた獲物から、シロちゃんがアイテムボックスにしまっていきました。


「ったく、活動中の軍を襲うなんて、下手すりゃ国家反逆罪が適用されるぞ」

「しかも、意図的に集魔香を使ってますから、明らかに誰かの差し金ですわね」

「「「フガフガ」」」


 バッツさんとアイリーンさんが地面に転がっている不審者を睨みつけているけど、もう既に大変なことになっていると思うなあ。

 不審者を運ばないといけないので、僕はいつも不審者を運ぶ護送車を用意します。


 シュイーン、スゴゴゴゴ。


「「「おおー!」」」

「ほら、ぼーっとしないでさっさと積み込め」


 バッツさんの激が飛ぶ中、僕が土魔法で作った護送車に新人兵が不審者を乗せました。

 シロちゃんの血抜きも終わったので、このまま王都に帰ります。

 護送車は、新人兵が交互に引っ張って行きます。

 と言っても、王都から歩いて十分のところにいるので、ゆっくり歩いても余裕で到着しました。

 すると、門のところに沢山の兵が僕たちを待っていきました。


「おーい、バッツ大丈夫だったか?」

「まあな。良い訓練にはなったが、レオがトドメだけ刺せば良いだけにしていたから余裕すぎだったな」


 軍の施設で取り調べをしていたブラウニー伯爵とバッツさんが話をしているけど、僕はともかくとして新人兵はかなり大変だったと思うよ。

 そして、護送車は厳重警戒を敷きながら運ばれて行きました。

 僕たちも、一緒に軍の施設に向かいます。

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