第四百六十五話 久々にバーボルト伯爵領に向かいます
僕の立場はちょっと変わったけど、やることは変わりなく過ごしていました。
王都の軍の治療も一段落し、メインは王都の大教会付属の治療施設に入院している人を治療していました。
そして、今日は久々にバーボルド伯爵領に行って、軍の施設内にある治療施設で治療を行います。
朝早くから準備を終えると、僕たちはジェシカさんとともに馬車に乗り込みました。
「いってきまーす」
「いってらっしゃーい」
クリスちゃんの見送りを受けながら、僕たちを乗せた馬車はフランソワーズ公爵家を出発しました。
二時間かからずに現地に到着する予定で、道中はのんびりと進んで行きます。
もちろん、探索魔法を使って周囲を警戒するのも忘れません。
でも、暇だなと思って、道中は魔法使いの本を読んでいました。
「ふしゅー、ふしゅー」
「すみません、ジェシカさん。またユキちゃんが眠っちゃって」
「いえ、お気になさらずに。朝早かったですので、致し方ないかと」
ユキちゃんはジェシカさんに抱っこされながら、スヤスヤと気持ちよさそうに寝ていました。
ユキちゃんは朝早いのが弱いし、到着まで時間があるのでゆっくりと寝れますね。
道中何もなく、無事にバーボルド伯爵領に到着しました。
最初に屋敷に行って、バーボルド伯爵家の皆さんに挨拶をします。
屋敷に着くと、直ぐに応接室に案内されました。
「ネストさん、おはようございます」
「やあレオ君、先日ぶりだね。改めて、騎士爵の叙爵おめでとう」
「レオ君、いらっしゃい。王都に着いて、直ぐに大活躍だったわね」
応接室には、ネストさんの他にイストワールさんもいました。
残念ながら、ダンビルさんとシャンティさんはお仕事で町に出ているそうです。
そしてネストさんが、キラキラした目で僕が王都でどんな活躍をしたか根掘り葉掘り聞いてきました。
三十分くらいしか滞在していなかったんだけど、ずーっと僕が喋っていました。
流石にネストさんがイストワールさんを止めてくれたけど、治療を始める前にちょっと疲れちゃいました。
屋敷を後にして、今度は軍の施設に向かいます。
事務棟に着くとマイスター師団長さんの部屋に来てくれってことだったので、ジェシカさんと一緒に執務室に向かいました。
「おはようございます、マイスター師団長さん」
「おはよう、レオ君。おや、ちょっと疲れているかい?」
「あはは……」
さっき喋りすぎちゃったのが、マイスター師団長さんには分かっちゃったみたいです。
幹部の人たちとも再会して、ちょっと話をすることになりました。
ガチャ。
「おお、レオも来ていたのか。いや、レオ騎士爵様って言えばいいかい?」
「あの、バッツさん、からかっていますね?」
「ははは、流石に分かったか。しかし、あのヴァイスの馬鹿を捕まえたのなら、準男爵くらいは普通にあってもおかしくないぞ」
豪快な笑いと共にバッツさんがはいってきたけど、僕としては騎士爵でお腹いっぱいです。
マイスター師団長さんがこの前の謁見のことを話すと、なぜかとっても大盛りあがりでした。
あっ、そうだ。
マイスター師団長さんに、あのことを聞いてみましょう。
「あの、ゴルゴン侯爵って、もしかしてアマード子爵領で暴れていたあのゴルゴン男爵と親戚ですか?」
「そういえば、ゴルゴン男爵の嫡男がアマード子爵領でやらかした件にレオが絡んでいるんだよね。両家は親戚であって、考え方も似ているよ」
やっぱりそうだったんだ。
ゴルゴン侯爵って聞いて、どこかで聞いた記憶があったんだよね。
でも、自分勝手なところは全く同じなんだ。
「ゴルゴン男爵家は、ある意味自滅に近い形で勢力を失っている。親戚であるゴルゴン侯爵が、レオ君に突っかかる理由の一つになっている。陛下の注意なんて気にしない連中だから、十分に気をつけた方が良い」
「そうだな。俺もあの馬鹿に会ったことがあるが、本当にどうしようもない連中だ。平気でアホなことをしてくるぞ」
マイスター師団長さんもバッツさんも、ゴルゴン侯爵には要注意と言ってくれました。
僕としても、あの人たちは要注意だと感じています。
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