第四百五十二話 早めにヒルダさんが到着です
そして、昼食を食べ終えて少し休んだ午後一時でした。
僕たちは、庭に出て少し休んでいました。
パカパカパカ。
「あれ? あの馬車ってもしかして……」
先週も見た馬車が、フランソワーズ公爵家の庭に入ってきました。
僕と一緒にいたクリスちゃんも、あれって表情をしていました。
えーっと、確かヒルダさんがくるのは二時頃のはず。
もしかしたら早めに来るってモニカさんが言っていたけど、三十分くらいかなって思っていました。
みんな玄関に移動し、モニカさんやターニャさん、それにウェンディさんとアレックスさんも屋敷の中から玄関に集まりました。
ガチャ。
「お母様、いくらなんでも早すぎますわよ……」
「ふふふ、先週の件があったら念の為に早くきたのよ」
なんだろうか、馬車から降りてきたヒルダさんはワクワクが止まらないって表情でした。
娘のモニカさんのジト目も軽く受け流し、そしていつの間にかユキちゃんを抱っこしていました。
どうやら孫もこの光景に慣れているのか、ウェンディさんも仕方ないねって表情をしていました。
とりあえず、みんなで応接室に移動しましょう。
「では改めて、黒髪の天使様ことレオ君、先日は危ないところを救って頂き本当に感謝します」
「あっ、いえ。僕は、みんなと一緒にできることを頑張っただけです」
「ふふふ、これまでも多くの人を身分問わず助けているのを見ると、やはりレオ君はとても心が優しいのだと思うわ」
応接室に着くと、ヒルダさんは元王女らしいとっても洗練された挨拶をしてきました。
さっきまでの天真爛漫な姿とのギャップに、僕たちはとってもびっくりしちゃいました。
因みに、シロちゃんはクリスちゃんの腕の中にいて、ユキちゃんは相変わらずヒルダさんの隣に座っています。
そして、話は僕への報酬に変わりました。
「きっとレオ君はお金を沢山貰っても、もう十分だと思っていると思うわ。今週末には叙爵もあるし、国からの褒賞も貰うでしょう。だから、褒賞以外のものにすることにしたわ」
「お金以外のもの、ですか?」
「ええ、そうよ。まずは、新しい冒険者服ね。体もまだまだ大きくなる時期だし、新調した方がいいでしょう。あとは、治療に使う道具と本ね。レオ君ほどの治癒師はそうはいないけど、もう少し道具を整えた方が良さそうだわ。あとは、アクセサリー作りの本もあげるわね」
おおー、これは魅力的な内容です。
色々な装備を揃えるのは、僕にとってもとてもありがたいです。
それに、ピンブローチ以外のアクセサリーを作れるようになりたいって思っていました。
しかも、報酬はこれだけではありません。
「今度の謁見が終わってからになるけど、レオ君の謁見用の服を作ってあげるわ。儀式用の剣も用意しないといけないわね」
「な、何だか凄いことになっていますね……」
「一代とはいえ、貴族の仲間入りをするのよ。それなりのものを揃えないと、貴族として恥になるわ。もちろん、後継をしている貴族にとってもね」
この辺りは、貴族的な考え方があるのかもしれないです。
ヒルダさんの話に、モニカさんもターニャさんもうんうんと頷いています。
この話も、もちろん受ける事にしましょう。
「一先ずはこの辺りにしておきましょう。時期を見て、またプレゼントをするわ」
「その、色々とありがとうございます」
「ふふふ、このくらいは当然よ。さあ、ここからがお楽しみの時間ね。レオ君の逸話を色々聞きたくて、本当にワクワクしていたのよ」
そして、ヒルダさんは真面目モードから天真爛漫モードにガラリと変わりました。
二時間以上、僕は質問をずっと受けていました。
それこそ、セルカーク直轄領からの旅の話もずっとしていました。
お話も終わったところで、ヒルダさんが更にビックリすることを話しました。
「ふふふ、今日は本当に面白い話を聞く事ができたわ。レオ君は明日教会の治療施設で治療をするのだから、私も一緒に治療を見てみたいわ。教会への慰問も兼ねましょう」
うん、まさかの事態になっちゃった。
明日の治療は、結構大変なことになりそうです。
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