第三百五十三話 料理を教えて貰います
安息日の今日は、一日何も予定がありません。
でも、僕とシロちゃんはこの人たちに色々と教えてもらっている最中です。
トントントン。
「うむ、元々ダガーを使っていたからか包丁の扱いは中々だな」
「キチンと猫の手ができていますわね。この調子で野菜を切ってね」
前日の夕方、僕が炊き出しで初めて料理をしたと言ったらユリスさんとオリガさんが料理をもっと教えてくれる事になりました。
僕としてはとっても嬉しいんだけど、どうもユリスさんとオリガさんは一番最初に僕に料理を教えたかったみたいです。
なので、かなり丁寧に教えてもらっています。
今日は野菜炒めなんだけど、フライパンを使うのは初めてだからちょっと緊張します。
「レオの持っている魔導コンロは、ちょっと火力不足なんだ。こういうのは、一気に火力で炒めるのがポイントだ」
「あんまり時間をかけると、素材が焦げちゃうわ。どんな料理も、手早くやるのがポイントよ」
宿の厨房にある薪窯は大火力なので、気をつけないとあっという間に野菜が丸焦げになっちゃいます。
僕はユリスさんにお手本を見せてもらいながら、切った野菜を炒めていきます。
まずは、お鍋に油をまわして軽く温めてっと。
ジュージュー。
僕はフライパンに野菜を投入して、焦げないように炒めていきます。
味付けは塩こしょうのみで、昨日のモゾロフさんのアドバイスみたいに濃い味付けにならないように気をつけよう。
お皿によそって、何とか野菜炒めが完成です。
さっそく、ユリスさんとオリガさんが僕の作った野菜炒めを試食します。
僕とシロちゃんも、一緒に試食してみます。
「初めての野菜炒めにしちゃ上出来だ。もうちょい火からあげるのを早くすると、もう少しシャキシャキするぞ」
「でも、レオ君はお料理の才能があるわね。きっとポーション作りで、薬草を煮込むのをしているのが生きているのね」
やっぱりユリスさんの作る野菜炒めは、シャキシャキしていてとっても美味しいね。
僕の作った野菜炒めは少し火が通り過ぎていて、もっと頑張らないとって思いました。
因みに、余った野菜炒めはお洗濯を終えたザンギエフさん兄妹とダリアさんのところに行きました。
「レオの年齢でこれだけできれば上等だ。後は、ひたすら経験を積むだけだな」
「私達がレオ君の年齢の頃は、まっ黒焦げな野菜炒めが出来たわ。それを考えると、とってもよく出来ているわよ」
料理としては食べられるけど、もっと頑張ればもっと良いものができるって評価です。
試食をしてくれるそうなので、僕はどんどんと野菜炒めを作っていきます。
さっきのユリスさんのアドバイスを参考にして、少し火から引き上げるのを早くします。
「さっきよりいい感じだな。野菜炒めをきっちり作れるようになると、他の炒め物も直ぐに上手くなるぞ」
「レオ君は、直ぐに修正ができるのね。この分なら、他の料理も直ぐに覚えそうだわ」
今度作った野菜炒めは、さっきよりも上手くできたとユリスさんから合格を貰いました。
そして、ザンギエフさん達は僕の野菜炒めをおかずにしてパンを食べていました。
「野営でこのくらいできれば、他の冒険者から褒められるレベルだ。もう少し料理が出来るようになったら、外での料理の仕方を教えてやるぞ」
「さっきよりも、とっても美味しく出来ているわ。レオ君は本当に上達が早いわね」
さっきよりも美味しいって言ってくれて、僕もとっても嬉しくなりました。
それに、ザンギエフさんが外での料理の仕方を教えてくれるって言ってくれたのもとっても嬉しいです。
こうして、僕の作った野菜炒めがみんなの昼食になりました。
僕も、ちょっとだけ料理に自信がつきました。
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