第五百七十一話 大教会に行きます

 翌朝、僕たちは朝食後にきちんとした服に着替えます。

 何だか、ジェシカさんに服を着るのを手伝ってもらうのも久しぶりですね。

 ウェンディさんとアレックスさんも一緒に大教会に行くので、それぞれ着替えをしています。

 すると、ジェシカさんがこんなことを言ってきました。


「やはりレオ様も体が大きくなっておりますので、服を作り直した方が宜しいかと。今は何とかなりますが、夏前には小さくなっている可能性が高いかと思われますので」

「じゃあ、レオ君の男爵陞爵記念で色々と揃えましょう。名誉ではない貴族になれば、色々なところに呼ばれることも増えるでしょう」


 僕の部屋にいたターニャさんも服の件を言ってきたので、これは直ぐに御用商会に行って服を買うことになりそうです。

 宮廷魔導師用の服も手直ししているし、体が大きくなるのも大変ですね。

 こうして着替え終えた僕も合流して、馬車に乗って大教会に向かいました。


「ピーちゃんも、今日は可愛いスカーフをつけたんだね」

「ピィ」


 今日は、ユキちゃんとピーちゃんもおしゃれなバンダナとスカーフを身につけていました。

 もちろんピーちゃんのスカーフは、飛ぶのに邪魔にならないようにしています。

 シロちゃんも一緒にみんなに撫で撫でさせられて、とってもほんわかとしていますね。

 そして無事に大教会に到着し、馬車から降りて中に入りました。

 すると、大教会の中では教皇猊下を始めとする面々が僕たちを待ってくれていました。


「黒髪の天使様、よくぞ国境から無事にお戻りしました。我々も、帰還を歓迎いたします」

「教皇猊下、こうして無事に王都に戻ることが出来ました。また、皆さんのお手伝いをしますね」

「相変わらず黒髪の天使様はやる気に満ち溢れておる。しかし、休むことも大切だ。暫くはゆっくりされるが良い」


 あらら、いきなり教皇猊下に注意されちゃった。

 モニカさんとターニャさんも、僕を見て仕方ないわねって表情をしています。

 僕はいつも動いていたから、休み方って分からないんだよね。

 すると、いつの間にか僕たちの隣にいたヒルダさんがあることを教えてくれました。

 凄いなあ、全く気配を感じなかったよ。

 もちろんシロちゃんたちも、ウェンディとアレックスさんもとってもびっくりした表情をしていた。


「半月程は、色々なお茶会に呼ばれるはずよ。明日、さっそく王城で王妃様主催のお茶会に呼ぶと言っていたわ」

「となると、冒険者活動ができるのはもう少し先になりそうですね……」

「レオ君にとっては退屈かもしれないけど、どの貴族もレオ君と縁を繋ぎたいと必死なのよ。もちろん、私たちでどの貴族のお茶会に行くかは選別するわ」


 何だか、王都に初めてやってきた時もお茶会にいっぱい呼ばれたっけ。

 がっくりとしている僕のことを、聖職者も含めた多くの人が微笑ましく見ていました。

 ではでは、神様への報告を済ませちゃいましょう。

 みんなで祭壇の前に移動し、そして膝をついて拝み始めました。

 えーっと、無事に王都に着きました。

 そう思っていたら、何だか周りがざわざわとし始めました。

 目を開けて周囲を見渡すと、町の人も大勢大教会の中に入っていました。


 ぴかー。


 何かなと思ったら、教会のステンドグラスからの光が僕に当たっていました。

 前にもあったしまたって思っていたら、またもや町の人が凄いものを見たという表情をしていました。


「うむ、やはりレオ君は神に愛されておるのう。神も、王都に帰ってきたレオ君を祝福しておるのじゃ」

「なんと神々しいお姿なのでしょうか……」

「ありがたや……」


 教皇猊下がニコニコしながら僕に話したので、町の人が僕のことを見て拝み始めちゃったよ。

 あの、これはたまたまですよ。

 そんなことを思っていても、モニカさんたちをはじめとする面々もニコニコとしているだけでした。

 うう、何だか恥ずかしいよ……

 そう思いながら、教会内に人が増えちゃったので応接室に案内されました。


「いやはや、流石は黒髪の天使様ですな。神々しいお姿でしたぞ」

「うう、ちょっと恥ずかしかったです……」

「謙遜されることも、如何にも黒髪の天使様らしいですな」


 なんというか、教皇猊下も他の人もみんなニコニコしているから何を話していいか分からないですよ。

 そこで、国境で何をしていたかを話しました。

 すると、噂で聞いていたよりももっと凄いことをしていたと、聖職者から更に感心されちゃいました。

 シロちゃんたちの方がもっと凄いことをしたと言っても、黒髪の天使様は凄いですねと言われちゃいました。

 こうして、人波が落ち着くまで応接室にいたけど、余計に疲れちゃいました。

 そして、神様が僕の帰りを歓迎したと一気に噂が広がっちゃいました。

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