第三百八十四話 今日は早めのお休みです

 事務棟に戻ると、僕はコレットさんに明日の予定を聞きました。

 何もなければ、明日は重症者の治療を行う予定です。


「でも、部隊長を含む数人を巻き込む魔法の暴発事故を起こした魔法使いは、治療は一番最後になるわね。懲罰の対象になっているから、二、三日は治療はしないわよ」


 どうして魔法を暴発させたか僕も知らないけど、何か理由があったんだね。

 ということで、迎えの馬車も着いたので僕は軍の施設からバーボルド伯爵邸に帰ります。

 帰ったらお風呂に入って、夕食の時間です。

 すると、ネストさんが興味津々って感じで今日の治療の事を聞いてきました。


「まあ、レオ君の魔力は分かったけど、流石に今日は初日だから抑え気味にやったかな?」

「今日は、大部屋に入院している人全員を治療しました。全員で百人は超えているはずですよ」

「はっ? 百人以上?」


 僕とシロちゃんが指折り数えていたら、ネストさんだけでなく他の人たちもポカーンとしたまま固まっちゃいました。

 人数が多いっていっても、骨折程度が殆どだもんね。


「最後に治療した人は、欠損部の再生もしたのでちょっと疲れちゃいました。でも、治療が上手くいって良かったです。明日もいっぱい頑張ります!」

「そ、そうか。流石は黒髪の魔術師だな。でも、レオ君はまだ小さいんだから張り切り過ぎない程度に頑張るんだよ」


 おっと、流石はネストさんです。

 僕は張り切っちゃうところがあるから、良い感じに指摘してくれました。

 すると、今度はイストワールさんが僕に話しかけてきました。


「レオ君は各地で治療をしてきたと思うけど、欠損部も再生させるとはね。レオ君に治せないものって、実はないのかしら?」

「あの、僕もシロちゃんも水虫だけは治せないんです。だから、僕は水虫も治せる治癒士になりたいんです!」

「ふふ、レオ君にはまだまだ高い目標があるのね。しかし水虫を治したいとは、レオ君はとても可愛いわね」


 合体魔法を使っても、何をやっても水虫だけは治せないんだよね。

 これはセルカーク直轄領で治療を始めたときからの、僕の最大の目標です。

 きっと、魔法以外の治療方法があるのかもしれないね。

 そして、夕食を食べ終えたら、今日は直ぐにベッドに入ります。

 魔力をいっぱい使っちゃったから、しっかり寝て回復させないとね。


「よいしょっと。これで、タイマーもオッケーです」


 懐中時計型の魔導具も操作をして、寝る準備はバッチリです。

 そして、疲れていたのもあったのか僕とシロちゃんはあっという間に眠っちゃいました。

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