第百六十一話 クリスちゃんに髪飾りを買ってあげよう
昼食もごちそうしてくれる事になったので、僕達は食堂に移動しました。
ポーションを作っている側で良い匂いがしてきたので、特にお腹ペコペコのクリスちゃんが我慢できなくなっちゃったみたいですね。
「レオ君、クリスの相手をさせて済まなかった」
チャーリーさんも、午前中のお仕事を終えて昼食を食べにきました。
ちょっと疲れているから、朝から忙しかったみたいですね。
因みにクリスちゃんは、美味しそうに昼食を食べています。
食欲があるのは、とても良い事ですね。
「僕は、クリスちゃんにポーション作りを見せていただけですので。それにしても、休暇中なのにお仕事で大変ですね」
「はは、魔導具が発達した弊害だな。ある程度の事は何処にいても出来てしまうのだよ」
チャーリーさんはちょっと困った表情を見せているけど、コバルトブルーレイクの街に来るまでの間も馬車の中でお仕事をしていたんだって。
休暇中なのにゆっくりできないのは、かなり残念だね。
「とはいえ、レオ君がクリスの相手をしてくれたお陰でかなりの仕事を片付けられた。例のバーサス子爵の件も、処分の方向性が決まったからな」
「処分の方向性、ですか?」
「ああ、王都では結構な大騒ぎになっている。バーサス子爵の屋敷から大量の武器などが見つかった。バーサス子爵に近い貴族と共に、目障りな貴族を襲撃して勢力拡大を狙っていたらしい」
うわあ、バーサス子爵はそんな大事件を起こそうとしたんだ。
そんな大事件が発覚すれば、王都が大騒ぎになるのも頷けるよね。
「元々コバルトブルーレイクの件も大事件だが、更に大きな事件に発展したからな。犯罪組織との取引疑惑も加わったし、バーサス子爵家は当然取り潰しになるだろう」
確かに毒入りポーション事件でも凄い事なのに、更に大事件が発覚したからもうどうしようもないね。
バーサス子爵には、キチンと反省して貰わないとね。
「おにーさま、おにくとってもおいしいの」
「それは良かったね。いっぱい食べるんだよ」
「うん!」
おっと、クリスちゃんがとっても良い笑顔で話しかけてきたよ。
僕も、きちんと昼食を食べないとね。
「では、僕はこれで失礼します」
「気を付けて帰るんだぞ」
「またあしたね」
僕はチャーリーさんとクリスちゃんに挨拶をしてから、別荘を後にしました。
うーん、空はますます雲が厚くなってきたね。
僕は念の為に雨具を買いに、商店街に向かいました。
「水が浸透しない素材を使ったマントはどうでしょうか? 頭部を覆うものもありますよ」
「じゃあ、これをお願いします」
「畏まりました」
少し大き目の商店で、フード付きのマントを手に入れる事が出来ました。
防寒着にも使用できるらしいので、一石二鳥ですね。
普段のキャスケット帽子とは違う、つばの広い帽子も手に入れました。
これで雨が降ってもばっちりです。
折角だから、店内をもう少し見てみよう。
ちょんちょん。
「うん? シロちゃんどうした?」
ふと僕の頭の上に乗っていたシロちゃんが触手でちょんちょんとしてきたけど、どうやらアクセサリーコーナーに行きたいみたいですね。
「もしかして、クリスちゃんのアクセサリーを選ぶの?」
シロちゃんは、正解と言わんばかりに頭の上でふるふると震えているよ。
幸いにして僕もお金を持ってるし、クリスちゃんへのアクセサリーを購入しよう。
「うわあ、色々な種類があるんだね」
「当店は貴族の方も立ち寄られますので、様々な種類を揃えております」
マントを一緒に選んでくれた店員さんが説明してくれたけど、本当に色々な種類の髪飾りが置いてあります。
クリスちゃんの髪色はとても綺麗なピンク色だから、どんな髪飾りでも似合いそうだね。
「迷っちゃうけどお金は沢山あるから問題ないし、この際だからいっぱい買っちゃおう!」
「ありがとうございます」
という事で、クリスちゃんに似合いそうな髪飾りをシロちゃんと一緒に沢山選んで購入しました。
店員さんもほくほく顔だったけど、たまにはこういうお金の使い方も良いもんね。
僕は、購入したものを全部魔法袋に入れてお店を後にしました。
「お帰りなさい、レオ君」
「今日は何だか良い顔ね」
宿に戻ると、ユリアさんとイリアさんが僕を出迎えてくれました。
今日は、午前中に別荘関連のお仕事が終わったらしいです。
「クリスちゃんに似合いそうな髪飾りを沢山買ったんです」
僕は、素直に髪飾りの事を話してしまいました。
ここで大失敗に気が付きませんでした。
「そう、それは良かったわね」
「じゃあ、私達には買ってくれなかったのかな?」
「あっ!」
僕とシロちゃんは、ユリアさんとイリアさんの言葉にあってなっちゃいました。
あわあわしている僕とシロちゃんに、ユリアさんとイリアさんは動きの邪魔になるから大丈夫よって言ってくれました。
うう、ちょっと失敗しちゃいました……
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