第五百八十五話 二日目はとっても平和です

 二日目の朝、僕たちは朝食を作ってから駐屯地を出発しました。

 早朝から再びジェシカさんのお掃除教室が始まっていて、シーツの洗濯なども指導していました。

 なので、今朝の朝食は僕と部隊長さんでぱぱっと作りました。

 定時報告をしたら、逆にもっとバシバシと指導しても良かったとブランドルさんから返信がありました。

 後で、ジェシカさんに特別指導料を払うそうです。


「ジェシカさん凄かったです。ビシビシ指導していて、とってもカッコ良かったです」

「アオン!」

「レオ様、ありがとうございます」


 少し冷静になったジェシカさんだったけど、落ち込まないようにいっぱい褒めました。

 ユキちゃんは、単純にジェシカさんがカッコよかったと思っているみたいですね。

 今日は、何事もなければ昼食は通過する村の食堂で食べて、夜は子爵領に泊まる予定です。

 軍が泊まる宿があるそうなので、そこに宿泊予定です。

 さてさて、僕はいつも通り勉強を行います。

 今日は、シロちゃんがユキちゃんとピーちゃんに色々と教えていました。

 というのも、朝早かったジェシカさんが少しウトウトしていたからです。

 みんなのためにお疲れ様です。


「あっ、村が見えてきたよ」

「アン!」


 道中は何事もなく進み、お昼前には無事に村に着きました。

 本当に素朴な村で、旅をしているとこういう村でよく昼食を食べたなって思い出しました。

 宿屋兼食堂で、席数の問題もあるので半分交代で昼食を食べます。

 僕たちも、先に僕とシロちゃんが食べて後でジェシカさんとユキちゃんが食べます。

 ピーちゃん用に、細かくしたお肉を魔法袋から取り出して準備完了です。


「はいよ、名産の生姜焼きだよ」

「わあ、とっても美味しそうです!」

「とっても美味いよ。いっぱい食べて大きくなるんだよ」


 ちょっと豪快な食堂のおばちゃんが生姜焼きを運んできたけど、なんというかお肉から食欲を誘うとっても良い匂いが漂っています。

 お肉を切り分けて食べるけど、なんとも言えない味がして本当に美味しいです。

 シロちゃんと一緒に、あっという間に完食しちゃいました。


「おばちゃん、とても美味しかったです!」

「残さず食べるなんて、とてもえらいねえ」


 食器を片付けに行くと、食堂のおばちゃんもニコニコしながら受け取ってくれました。

 さて、ジェシカさんたちはどこかなと思ったら、食堂の外にいました。

 村の人もいるからなんだろうなと思いながら、シロちゃんと一緒に向かいました。


 シュイン、ぴかー!


「アンアン!」

「わあ、すごーい! ワンちゃんが魔法を使ったよ!」


 どうやら、村のお母さんが怪我をした男の子を連れてきたみたいです。

 今や、シロちゃんは重症患者もあっという間に治療する程にパワーアップしたもんね。

 治療が終わったタイミングで、ジェシカさんに声をかけました。


「ジェシカさん、お待たせしました。ユキちゃんも、カッコよかったよ!」

「レオ様、一人にしてしまい申し訳ありません」

「アオン!」


 ジェシカさんが僕に謝ってきたけど、僕的には全然問題ないんだよね。

 話を聞くと、軍が来ているから治療できる人がいるのかなと聞いてきたみたいです。

 このくらいなら全然大丈夫だし、念の為に部隊長さんに聞いても問題なかったです。

 僕も食事後半組の人を待っている間、何人かやってきた村の人を治療しました。

 こうして午後も出発したけど、本当になんにもトラブルがありせん。

 お陰様で、順調に子爵領に到着しました。

 今日泊まるの宿に入ったけど、そこであることに気が付きました。


「部隊長さん、そういえば僕が子爵に挨拶に行かなくて良いんですか?」

「お互い気遣い無用という、暗黙の了解があります。もちろん、要請があれば面会します」


 ヨーク伯爵領のように、最初から面会要請があれば別だそうです。

 あと、道中でその地域の取りまとめ役の伯爵領だと挨拶した方が良いそうです。

 ただし、僕の場合影響力が大きいので、部隊長さんが挨拶することになっています。

 僕に気に入って貰って、影響力を増そうとする貴族がいるかもしれません。

 ジェシカさんが、そんなことはさせませんと言っていたけど。

 こうして二日目も無事に終了です。

 順調すぎて定時報告であまり書くことがなかったけど、それが一番なのかもしれないですね。

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