第五百八十一話 明日の予定とみんなでお風呂

 気を取り直して、昼食後は治療施設に移動して重傷者の治療を行います。

 治療班が頑張っているので、軽傷者がいる大部屋はお任せです。


「レオ君、私は先に屋敷に帰っているぞ」


 ネストさんは、僕の男爵陞爵パーティーの準備をするために先に屋敷に帰ります。

 僕も早めに屋敷に帰る予定なので、頑張って治療をしないと。

 そう思いながら、さっそく治療を始めます。


 シュイン、ぴかー。


「アオン!」

「こりゃ凄いなあ。まさかコボルトが重症骨折を治しちまうとは」

「アン!」


 重傷者といっても、手足の再生を行うような人はいません。

 国境での軍の治療でパワーアップしたユキちゃんなら、重症患者も治療できます。

 病気の治療もお手の物だし、無理だったら僕やシロちゃんをきちんと呼びます。

 こんな感じで治療を進めていったけど、結局ユキちゃんが全員の治療を終えちゃいました。

 ユキちゃんの魔力制御も、とってもパワーアップしていますね。

 こうして無事に治療を終えたので、僕たちはマイスター師団長さんの部屋に戻りました。


「そうか、ユキちゃんが全員を治療したんだね。初めて治療した時と比べると、随分と進歩しているね」

「アオン!」


 治療の報告を聞いたマイスター師団長さんにニコニコとしながら頭を撫でられたユキちゃんは、尻尾をぶんぶん振る程喜んでいました。

 マイスター師団長さんはユキちゃんが僕のお友達になった時から治療の腕を知っているので、こうして重症者まで治療出来て感無量みたいです。

 ではでは、改めて明日からの話を聞きます。


「明日は、早朝から軍の施設を出発する。いきなりで悪いが、昼食は自炊だ。そして夕方前に男爵領に着くが、小さいながらも軍の基地があるからそこで泊まることになる」


 王都に近いのもあってか、町と畑が続いているそうです。

 昔は森があったけど、切り開いて開拓したらしいです。

 人の力って凄いんですね。

 ということで、明日朝は短縮版の訓練をして軍の施設に向かうことにしました。


「あと、これが検証用の通信用魔導具だ。使い方は説明書があるので確認してくれ。私たちだけでなく、レオ君の関係者の連絡先も入っている」

「ありがとうございます、大切に使います」

「まあ、有力貴族は全員持っているから、今後レオ君が使うことになるだろうね」


 マイスター師団長さんから手渡された通信用魔導具は、他の人が使っているものの半分くらいの大きさだった。

 随分コンパクトだなと思ったけど、その代わりに魔力があまり持たないそうです。

 当面は、二日に一回魔力を充填します。

 ピーちゃんが、魔力制御の練習を兼ねて頑張るって言っています。

 お話はこれで終わりだそうで、僕はマイスター師団長さんに挨拶をして軍の施設を後にしました。


「ただいま!」

「アオン」

「あら、レオ君お帰りなさい」


 屋敷に着くと、玄関でイストワールさんが僕たちを出迎えてくれました。

 すると、イストワールさんが後ろに控えていた使用人にある命令を出しました。


「そうだわ、レオ君をピカピカに洗ってあげてね」

「「「畏まりました」」」

「それなら、私もお手伝いします」


 ジェシカさんまでやる気になっちゃって、泊まる部屋に行く前にお風呂場に行っちゃいました。

 ピーちゃんは水浴びが大好きなので、桶に水を入れて貰いました。

 シロちゃんとユキちゃんも、綺麗に洗って貰います。


 ゴシゴシ、ゴシゴシ。

 ゴシゴシ、ゴシゴシ。


「レオ様も、随分と体が大きくなりましたね」

「えっ、そうですか? 確かに、服がちょっと小さくなっちゃったんですよね」

「成長している証です。まだまだ小さいですので、これからもたくさん食べましょう」


 ジェシカさんが僕の頭を洗ってくれたけど、他の人も僕の体が大きくなったと言っていました。

 自分じゃ、中々どのくらい成長したか直ぐには分からないよね。

 みんなピカピカに洗ったので、お風呂に入ります。


「ふいー」

「ふふ、そういう可愛らしい仕草は昔と変わりませんわ」


 ジェシカさんも混じって使用人同士で何か話をしていたけど、お風呂に入って気持ちよくなっちゃうのはきっと変わらないと思うよ。

 こうしてさっぱりとしたところで、衣装部屋に移動して夜会用の服に着替えます。

 今夜は、宮廷魔導師用の服じゃなくて貴族服を着ます。

 服を着て、髪の毛も綺麗にセットしてもらいます。


「アオン!」


 ユキちゃんも、お気に入りのスカーフを身に着けます。

 これで、全員の準備完了です。

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