第二百五十九話 残りのオークの位置を発見です

 村の半分の家が壊れてしまったので、再建もしないといけません。

 とはいっても、直ぐにはできないので、冒険者や兵が壊れた所を片付けて仮復旧させています。


「仮設でも、住む事ができれば全然平気ですよ」

「危うく村が全滅する所でしたから」


 村人は努めて明るくしているけど、十人以上の死者が出たりとかなりの損害が出ています。

 それでも、あの規模のオークの襲撃があってこのくらいの損害なので、奇跡的だとも言っていました。

 遺体はシーツに包んだうえで、僕が生活魔法で綺麗にして氷魔法で凍結させました。

 オークの襲撃が収まらないと、死者の葬儀どころではないそうです。


「じゃあ、私達は炊き出しのお手伝いをしましょう」

「レオ君、食料を出してくれるかしら?」


 治療も一段落したのもあり、僕達は炊き出しの準備をします。

 僕はまだ上手く包丁が使えないので、野菜を洗ったりしています。


 トントントントン


「わあ、フレアさんもミシャさんも、とっても包丁さばきが上手ですね」

「野営する時は、交代しながら自炊していたからね。そこそこはできるわよ」

「お互いにマズイものを食べさせる訳にはいかないからね。そこそこ頑張ったわよ」


 フレアさんとミシャさんは、次々に野菜を切り刻んでいます。

 村の食べ物の半分がオークに食べられちゃったけど、僕の魔法袋の中には結構な量の食料があります。

 マシューさんが追加で食料を頼んでくれたので、明日の朝には届くそうです。

 パンもあるので、出来上がったスープの器を村の人に配ります。


「はい、どうぞ」

「坊や、ありがとうね」


 村のお婆さんに器を渡すと、ニコリとしなが受け取ってくれました。

 他の人も、炊き出しを食べて一息ついてました。


「もぐもぐ。はあ、だいぶ落ち着いたね」

「もぐもぐ、そうね。後は、偵察の結果次第だね」


 昼食の代わりに、僕達も余った炊き出しを食べています。

 食事を食べて、身体を休める時に休むのも冒険者としてとても大事な事なんだって。

 それで、動いている人と交換して休める様にするそうです。

 ここでは、柵を直す人と偵察に行っている人の事です。

 オークだけでなく普通のオオカミとかもいるので、壊れた柵も急いで直しています。

 修理の人達も、交代しながら休憩しています。


「マシューさん、今回は結構な損害ですよね。村の復旧作業もありますよね?」

「そっか、レオ君はコバルトブルーレイク直轄領で盗賊団に襲われた村の対応をしていたね。この後のオークや魔物の対応次第だけど、短期的な復旧計画と長期的な復旧計画を立てるよ」


 兵と話すマシューさんにこれからの事を聞いたけど、まずはオークの残党を倒さないといけない。

 食料がないから、いつ村を襲うか分からないよね。


「フレアさん、ミシャさん、マシューさん、今日は村に泊まるんですか?」

「泊まるわよ。まだオークの脅威がなくなった訳じゃないからね」

「テントもあるし、村人の負担をかけずに泊まれるわ。他の冒険者も同様よ」

「我々も村に残るよ。兵にとっても良い訓練になるし、我々がいる事により村人も守られていると安心するだろう」


 僕もテントを持っているし、コバルトブルーレイクの村で野営もしているから全然大丈夫です。

 昼食も食べ終えているので、村の広場を借りてテントを建てる事になりました。


「レオ君は、私達と一緒のテントよ」

「分かりました。寝袋は自分の物を使いますね」

「レオ君はしっかりとしているね」


 僕は、フレアさんとミシャさんと一緒にテントを立てて寝る準備をしました。

 そして、他の人達も寝る準備を終えた時でした。


「マシュー様、オークのねぐらを発見しました。斥候の報告では、こちらに向かってきているそうです」

「そうか、数はどのくらいか分かるか?」

「五十を超えるそうです。また、オークキングと思わしき個体もいるそうです」


 遂に、他の個体の存在も把握できました。

 でも、オークキングもいる結構な群れなんだね。


「オークの群れを攻撃する班と、村を守る班に分けよう。どの班も、大切な役割だ。私は攻撃班につく。すまんが、三人共攻撃班についてきてくれ」

「「「はい」」」


 こうして、急いで冒険者と兵の班分けが進みます。

 何とかして、村に影響がない様にしないと。

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