第四百九十五話 奉仕活動の終了と結婚式のお誘い

 お昼過ぎになると、冒険者も姿を現すようになりました。


「ははは、なるほど軍の新人が治療をしているのか。だから、治療しているのが多いんだな」

「皆さん頑張っているので、僕もとっても助かっています」

「ははは、さながら、黒髪の魔術師様の弟子ってことだな」


 僕が治療をした冒険者が豪快に笑っていたけど、皆さん僕の弟子って訳じゃないんだよね。

 そんなことを思っていると、新人治療兵の様子が変わってきた。


「す、すみません。もう、魔力が限界です……」

「わ、私もです……」

「無理をすることはないわ。逆に、自分の限界を知ることも大切ですよ」


 スカラさんが、魔力が尽きてしまった新人治療兵に休むように伝えています。

 僕も、前に魔力が尽きちゃって無理をしないでと怒られちゃったもんね。

 マキシムさんはまだまだ魔力がありそうで、普通に治療を続けていました。

 僕たちも、そろそろユキちゃんの魔力が限界っぽそうです。


「ふわあ……」

「もう、終わりにしようね」

「うん……」


 その前に、マヤちゃんが眠くなっちゃいました。

 クリスちゃんも気にかけていたけど、もう限界みたいですね。

 ジェシカさんに抱っこされると、あっという間に寝ちゃいました。

 炊き出しの料理ももうそろそろ尽きそうなので、今日の奉仕活動はそろそろ終了ですね。


「あの、レオ様の魔力は重傷者の治療をしたのに大丈夫なんですか?」

「まだまだ大丈夫ですよ。半分くらいしか減ってないです」

「す、凄すぎる。これが黒髪の魔術師の力なのか……」


 流石に魔力が尽きかけたマキシムさんが驚愕の表情をしているけど、シロちゃんもまだまだ魔力はあるんだよね。

 他の新人治療兵や警備をしていた新人兵も、何だか僕のことを信じられないって表情で見ていたよ。

 えーっと、僕は至って普通ですよ。

 そして新人兵が整列していて、その前に教皇猊下が笑顔で立っていました。


「今日は、皆のお陰でとても良い奉仕作業ができた。軍は平時は戦うことは少ないだろう。しかし、今は王国と帝国が緊張状態にある。新人兵がいきなり最前線に行くことはないだろうが、何かあっても良いように常に日々の訓練を怠らないように」

「「「はい」」」


 教皇猊下がこの場をしめて、今日の訓練は完了です。

 ちなみに軍は交代で休みを取っているそうで、明日お休みになるそうです。


「レオ君、今日は色々とありがとうね。また来週も訓練に付き合ってね」

「僕も良い訓練になって、とてもためになりました」

「そう言って貰えると、とても助かるわ」


 アイリーンさんと挨拶をして、新人兵を見送ります。

 そして、ウェンディさんとターニャさんのところに戻りました。

 すると、ライサさんからビックリする事を告げられました。


「実は、あと一ヶ月したらシークレア子爵領に行くことになるの。いよいよ結婚式を行うわ」

「わあ、そうなんですね。おめでとうございます」

「それは、とてもおめでたいことですね」

「おめでとー!」

「アオン!」


 遂に、セルゲイさんとライサさんが結婚するんだね。

 僕だけでなく、ウェンディさんとクリスちゃんも大喜びです。


「それでね、皆さんにも結婚式に来て頂きたく思っております。元々フランソワーズ公爵家の方には招待状を出しておりますが、レオ君にも招待状をお渡ししますわ」

「わあ、ありがとうございます。僕も楽しみにしますね」

「アン!」


 とっても素敵なお誘いに、僕も思わずニッコリしちゃいました。

 もちろん、シロちゃんとユキちゃんも大喜びです。

 久々にシークレア子爵領に行くけど、とっても楽しみになっちゃったよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る