第二百六十三話 対応が決まってホッと一息です

 無事に街に戻った僕達は、冒険者ギルドに向かいました。


「皆さん、本当にお疲れ様でした。ギルドマスターがお待ちです」


 受付で完了の手続きをしたらホークスターさんが僕達を待っているそうなので、そのままギルドマスターの執務室に向かいました。


「失礼します」

「おっ、帰ってきたな。取り敢えず座ってくれや」


 ホークスターさんは沢山の書類にサインをしながら、僕達を出迎えてくれました。

 きりの良い所まで書類整理をするそうなので、僕とフレアさんとミシャさんは出されたお茶を飲みながらホークスターさんが落ち着くまで待ちました。

 ああ、久々の紅茶はとても美味しいよ。


「お待たせ。いやあ、正直な所ここまで大変な事になるとは思わなかったぞ。間違いなく三人がいなければ、死者は増えただろうな」


 ホークスターさんも書類整理が終わったみたいで、ソファーに座ってお茶を飲みながら話し始めました。


「話から想像するに、恐らく村を襲ったのははぐれオークの集団だな。辺境伯領の軍は大抵の野生動物の生息域を把握しているが、軍も把握していないとなると多分そうだな」

「でも、どうやって村へのオークの襲撃が分かったんですか?」

「たまたま、村へ軍の巡回があったんだ。そこからの通報だ。とはいえ数人だし、レオ達レベルじゃなければ太刀打ちできないだろう」


 本当に色々な偶然が重なって、村を守る事ができたんだ。

 マシューさんも早くから準備万端だったし、オークを倒した後の支援もバッチリだったもんね。


「念の為に、辺境伯家の兵と冒険者が辺境伯領内の村の近くに何かいないか確認する事になった。この辺は、偵察が得意な者が行うから三人の出番はないぞ」

「もし何か見つかったら、その時は僕達の出番ですね」

「何か見つかったらだな。村の防衛力を上げるために、村を囲む柵なども手入れをするそうだ」


 これを機会に、色々な事を確認するんだね。

 僕達の出番が無い事を祈るしかないね。


「あとはオークだが、三日に十頭の割合で卸してくれ。それ以上は、職員が対処できねえ」

「普段の依頼で出た分も、職員の人はやらないと行けないですもんね。三日置きに、オークを卸す様にします」

「すまんな。今回の報酬は計算して出すが、三人の功績が大きいから計算に時間がかかる。報酬を渡すのは、間違いなく年明けになるだろう」


 オークを卸すタイミングも特に問題ないし、僕もフレアさんもミシャさんも急いでお金を必要としていない。

 年明けでも、全く問題ないもんね。


「取り敢えず、俺からはこんなもんだな。ああそうだ、お館様が顔を出してくれと言っていたぞ」

「分かりました。昼食を食べたら屋敷に向かいます」

「私達も、流石に着替えていた方が良いですね」

「冒険者服でも問題ないが、昨日から着替えていないもんな。その辺は任せる」


 という事で、ホークスターさんとのお話はこれで終わったので、皆でミシャさんのお家に向かいました。


「三人とも、無事で本当に良かった。我々も村のニーズを聞いたうえで、何かしらの支援を行う予定だ」


 昼食を食べながら、ミシャさんのお父さんも村の話をしていた。

 ミシャさんの商会はとても大きいから、きっと村に役に立つ事をしてくれるよね。

 しかも、キチンと現地の状況を確認して行くんだから、更に凄いね。

 既に現地に調査のための人を送っているらしいし、行動力もとってもあります。


「困った時はお互い様だ。我々の商売が成り立つのは、商品を買ってくれるお客さんがいてこそだ。だからこそ、お客さんが困ったら助けないと」

「お父さんって、そういうボランティア活動に熱心だもんね」

「うちのお父さんも、何か力になればって話していたよ」


 うん、ミシャさんのお父さんはとてもカッコいいし、フレアさんのお父さんも既に動いているんだね。

 街の人が、村を助けたいと思っているんだ。

 僕達はちょっとゆっくりしてから、着替えてボーガン様の屋敷に向かいました。

 屋敷に着くと、直ぐに応接室に案内されました。


「三人とも、無事で本当に良かった。三人がいなければ、村が全滅していたのは間違いない。領主として、三人に礼を言おう」


 ボーガン様が応接室に入ると、直ぐにお礼を言ってきた。

 直ぐに今後の話に変わった。


「ギルドマスターからも話を聞いていると思うが、各村への確認を行うことにした。基本的に三人に動いてもらう事はないと思うが、最悪の事には動いて貰うぞ」

「「「はい」」」


 この辺りはホークスターさんから聞いた話と一緒なので、僕達も全く問題ありません。

 すると、ボーガン様は僕に向き直りました。


「それから、レオ君は勉強が優先だ。いくら凄腕の魔法使いとはいえ、レオ君一人におんぶに抱っこの状態ではあってはならぬ」

「そうだね、レオ君は小さいのだから勉強を頑張らないとね」

「そうそう。辺境伯領に暮らしている、私達みたいな冒険者が頑張らないといけない事ね」


 フレアさんもミシャさんも、任せろという表情をしていました。

 二人とも、とっても強いからきっと大丈夫だね。

 という事で、僕は普段の依頼と勉強を中心に動く事になりました。

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