第百八十三話 洞窟に潜んでいた盗賊を捕まえます
あっ、洞窟の中から複数人が出てきたよ。
「誰か出てきます」
「レオ君、あいつらを叫び声をあげさせずに倒す事は出来るかな?」
僕はまだ怒り心頭のイリアさんからの指示で、魔法を準備します。
洞窟から出てきたのは、明らかに盗賊っぽい身なりの男だね。
探索魔法を使いつつ、僕は二つの魔法を準備します。
三つ同時に魔法が使えて良かったよ。
探索魔法を使っていると、洞窟の中から移動した人が全員外に出たね。
僕は皆にコクリと頷くと、先ずは一発目の魔法を放ちます。
もわーん。
「な、なん……!」
「……!」
突然の事で、僕が魔法をかけた全員がパニックになっていますね。
では、次の魔法で一気に動きを止めます。
バリバリバリ!
「「「……!」」」
ばたり。
エリアスタンで、盗賊を一気に痺れさせます。
盗賊が動き出すと面倒なので、今回は強力な魔法を使いました。
「拘束するわ。行くよ!」
ユリアさんが小さく喋って、僕達は一気に動き出しました。
突然現れた僕達に、痺れて動けない人達はビックリした表情を浮かべていました。
「あっ、この人達盗賊で間違いないです」
「やっぱりね、身なりからしてそうだと思ったわ」
僕の鑑定魔法の結果をイリアさんに伝えると、納得した表情を見せました。
その間にも、ユリアさんの指導を受けながら、ナナさん達は盗賊を縄で縛って行きます。
「しかし、沈黙魔法と雷魔法を使って、盗賊に叫び声を出させないとは。流石はレオ君ね」
直ぐにイリアさんに見破られちゃったけど、声を出せなくさせる沈黙魔法はナナさんに闇魔法を教える為に覚えたんだ。
使う所があるのかなと思ったけど、役に立って良かった。
縛り上げた盗賊は、全員で六人です。
「洞窟の中には、あと四人います。そのうち女性が三人です」
「となると、残りは一人ね」
「私とユリアで行くわ。シロちゃんもついてきてくれるかしら」
きっと乱暴された女性がいるから、僕とナナさんに見せないためにユリアさんとイリアさんとシロちゃんで洞窟の中に入ったんだね。
僕達は、念の為に拘束した盗賊を監視しています。
「あーーー!」
暫くすると、男性の叫び声が洞窟の中から聞こえてきたよ。
そして目茶苦茶怒っているユリアさんが、盗賊の足を持って引っ張りながらこちらにやって来ました。
続いて、イリアさんが毛布を被ってポロポロと泣いている三人のお姉さんと一緒に出てきて、最後にシロちゃんが出てきました。
おお、ユリアさんが引っ張ってきた盗賊は、完全に気絶していて顔面が目茶苦茶腫れているよ。
そして、解放されたお姉さん達は傷もなく体も綺麗だけど、きっとシロちゃんが魔法で色々とやったんだね。
「これで盗賊は全員ね」
「じゃあ、全員土を固めた檻に入れます」
「レオ君、お願いね」
ズゴゴゴゴ。
「「「……!」」」
僕は盗賊が逃げられない様に、目茶苦茶固くした土の檻を出現させて盗賊を全員囲みます。
未だに喋る事のできない盗賊は突然現れた檻に囲まれ、とてもビックリした表情に変わりました。
その時でした。
ずず、ずずず、ずずずず。
ずるずるずる!
「「「!!!」」」
「あっ、行っちゃった……」
「運ぶのが楽になったわね」
盗賊を乗せた檻が、まるでソリの様に森の斜面を滑って行きました。
しかもちょうど獣道の上を滑って行ったので、檻を止める物がありません。
イリアさんが苦笑しながら良いだろうと言ったので、結果オーライとしておきましょう。
ナナさん達から預かった荷物に予備の服と靴があるので、捕まっていたお姉さん達に着替えて貰います。
そして、皆で山を降りて行きます。
「「「……」」」
山を降りると、檻が壊れる事もなく山から落ちていて、檻の中にいる盗賊は目を回して気絶していました。
「流石はレオ君ね。檻が全く壊れていないわ」
「うるさいのも黙っているし、丁度いいわね」
ユリアさんとイリアさんは、全く問題ないといった表情です。
僕も、全然平気だと思います。
「ふう。あはは、き、緊張した……」
「そ、そうね。私も、今になって足ががくがくしているよ」
「まだまだ実力不足だと、本当に痛切しましたわ……」
緊張から解放されたナナさん達も、汗をかいて地面にぺたりと座り込んでしまいました。
大きな戦いは無くとも、初めての戦闘でずっと緊張しちゃっていたんだね。
道中も、ずっと黙り込んでいたもんね。
「そろそろ昼食の時間だし、少し休憩してから村に戻りましょう」
「「「はーい」」」
捕まっていたお姉さん達の体力を回復させる必要もあるし、これからの事を考えても無理をしないでちょっと休憩しないとね。
僕は魔法袋から。食料品と調理道具を取り出しました。
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