第三百三話 シークレア子爵領の領都に到着しました
盗賊を乗せた馬車を馬車便の馬車に繋いで、準備完了です。
僕は、冒険者と一緒に馬車便に戻りました。
パカパカパカ。
「皆さん、とっても強いですね。一瞬で盗賊を倒しちゃいました」
「まあ、そこそこは鍛えているからな」
「それに、俺たちは兄弟だから連携はおまかせだ」
全員髪型が違うだけで、お顔は一緒だね。
兄弟全員ムキムキマッチョなのも凄いね。
「一番背の高い俺が、長男のザンギエフだ。短髪なのが次男のモゾロフで、毛を逆立てているのが三男のゲンナジー、赤髪の癖っ毛がヒョードルだ」
「いやあ、あの黒髪の魔術師様と一緒に盗賊を討伐したとなれば、他の冒険者に自慢できるぞ」
「そうだな。黒髪の魔術師の逸話の一部になれたんだ」
「いい酒の肴にもできるな。今夜は美味い酒が飲めそうだ」
全員がゴツい人だけど、とっても感じの良い人たちだよ。
さっき捕まえた盗賊とは大違いだね。
「しかし、さっきの盗賊はまるでレオを待っていた様な口ぶりだったな」
「あっ、僕もちょっと気になりました。シークレア子爵領に向かうのは噂になっていそうですけど、馬車のタイミングまで知っているのは普通ないですよね」
「一本先に出ている馬車がある。もしかしたら、その馬車に乗っている奴が情報を漏らしたのかもしれないな」
でも、昨日はそんなに僕の事は噂になっていなかった気がするよ。
ザンギエフさんの言う通り、一本前に出た馬車が怪しいのかな?
パカパカパカ。
「あっ、何だか変わった匂いがしてきました。この匂いは何だろう?」
「レオは初めてか。これが潮の匂いだ。もうそろそろ海が見えるぞ」
遠くにシークレア子爵領の領都を守る防壁が見えてきたタイミングで、何だか不思議な匂いがしてきたよ。
いよいよ海が見えてくると思うと、僕もシロちゃんもとってもワクワクしてきたよ。
「おお、コバルトブルーレイクみたいな大きな湖が見えてきました。でも、こっちはどこまでも続いていますよ」
「ははは、レオもまだまだ子どもって感じだな。これが海だ。コバルトブルーレイクとは比べものにならない程デカイぞ。それに、海はとってもしょっぱいぞ」
海の事はサンダーランド辺境伯家での勉強で教わったけど、こうして実際に見ると本当に大きいね。
大興奮の僕とシロちゃんを、冒険者の兄弟だけでなく他の乗客もにこやかに見ていました。
海に感動しつつ、無事にシークレア子爵領の領都に到着しました。
「道中で盗賊を捕まえた、引き取ってくれないか?」
「ザンギエフさんに喧嘩を売るなんて、自殺行為ものですな」
防壁を守る守備隊の人にザンギエフさんが話しかけたけど、ザンギエフさん達は守備隊の人とも顔見知りなんだね。
「そいつを詳しく調べてくれ。同乗していた黒髪の魔術師の事を待ち伏せして、金を奪い取ろうとしていたぞ」
「どこで情報を聞いたのか分かりませんが、確かにそんな事を言っていました」
「うーん、普通の盗賊ではなさそうですな。よく見ると、ただのスラムにいる子どもにも見えるぞ」
ザンギエフさんと守備隊の人が話をしているけど、確かに盗賊っぽくなかったよね。
一体どんな事になっているのかは、守備隊の人に調べて貰いましょう。
「レオは、この後どうするんだ?」
「冒険者ギルドに行って到着の手続きをしたら、シークレア子爵様のお屋敷に行きます」
「そうか。俺達も冒険者ギルドで到着の手続きをするから、一緒に行こう。何かあったら大変だ」
ザンギエフさん達がついてきてくれるのはとってもありがたいです。
冒険者ギルドの場所も分からないし、一石二鳥だね。
馬車乗り場で馬車から降りた僕とシロちゃんは、ザンギエフさん達と一緒に冒険者ギルドに向かって歩き始めました。
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