第四百七十九話 王子様との初顔合わせ

 今日は、久々の冒険者活動をするぞ!

 と思ったら、王妃様からお茶に来てねと誘われちゃいました。

 幸いにしてお茶のお誘いは午前中なので、午後から冒険者活動をする予定です。

 僕はキチンとした服に着替えて、玄関に移動しました。

 因みに、クリスさんとターニャさんも一緒に行くそうです。

 ということで、馬車に乗って王城に出発です。


「今日は、応接室でお茶をする予定よ。ノエビア王妃様も、レオ君が無事に王都に帰ってきてホッとしているの。あと、グレッグ王子様とも顔を合わせたいらしいね」


 王城に着いて廊下を歩きながらターニャさんが今回のお茶会の意図を教えてくれたけど、確か前の王妃様とのお茶会の時には王子様とは会えなかったんだよね。

 僕より小さい子だというけど、いったいどんな子なのかな?

 ちょっとワクワクしながら、僕たちは応接室に到着しました。


 ガチャ。


「いらっしゃい、待っていたわ」

「いらっしゃーい!」


 部屋の中には、王妃様と同じ銀色のショートカットの元気な男の子が僕たちを出迎えてくれました。

 そして、僕とクリスちゃんのところに満面の笑みを浮かべながらとことこと歩いてきました。


「僕、グレッギュ!」

「おはようございます、僕はレオです。あと、シロちゃんとユキちゃんです」

「私はクリスティーヌです。クリスって呼んでね」

「アオン!」


 グレッグちゃんは、まだ自分の名前もキチンといえないけど、とっても明るい男の子ですね。

 僕とクリスちゃんだけでなく、シロちゃんとユキちゃんとも握手をしています。

 そして、ユキちゃんの手を引いて王妃様のところに戻っていきました。


「おかーさま、あいさつできた!」

「ふふ、良かったわね。ユキちゃんも久しぶりね」

「アン!」


 王妃様も、ちょっとドヤ顔のグレッグちゃんとユキちゃんの頭を撫でて膝の上に乗せました。

 そして、お菓子とお茶にジュースが出されたのを合図に、お茶会が始まりました。


「グレッグは、まだ三歳になったばっかりで毎日やんちゃしているのよ。遊ぶのが大好きで、いつも追いかけっことかをしているわ」

「おいかけっこ、だいすき!」


 グレッグちゃんはとっても活動的な性格らしく、王妃様もちょっと苦笑していました。

 こっそりと、陛下に似た性格だと言っていますね。

 僕としては、年齢相当じゃないかなって思っているよ。


「グレッグ、レオ君は魔法を使って悪い人を捕まえたり傷ついた人を治したりしたんだよ」

「おおー! レオおにーさますごーい!」


 王妃様がニッコリとして教えるのだから、グレッグちゃんのはしゃぎようがもの凄いですね。

 そして、ここでユキちゃんが小さな氷の固まりを発動させました。


 シュイン、ころり。


「アン!」

「わあ、つめたーい! ユキちゃんもまほーつかえるんだ!」

「ふふ、シロちゃんも魔法が使えるのよ」


 シロちゃんもグレッグちゃんのところにちょこんとやってきて、小さな光の玉を見せてあげました。

 ワクワクが止まらない息子のことを、王妃様は優しく撫でていました。


「でも、こうしてレオ君の元気な姿を見れてホッとしたわ。謁見でも色々とあったと聞いているし、私もあのゴルゴン侯爵一派とは距離を置いているのよ」

「僕も、ゴルゴン侯爵一派とは距離を置きたいです。ポール男爵領で意地悪をしていた時は、僕も思わず怒っちゃいました」

「レオ君が怒るのは、とても自然な事なのよ。ゴルゴン侯爵は息子に孫娘を嫁にしようとしつこくしてくるし、息子も嫌いなの」


 幾ら自分の勢力を伸ばしたいからとはいえ、まだ三歳のグレッグちゃんに嫁を勧めるとは。

 やっぱりゴルゴン侯爵は、自分のことだけを考えているんだ。

 よく考えるとコバルトブルーレイク直轄領で不正なポーションを作ったのもゴルゴン侯爵一派だったし、アマード子爵領で大暴れしたのはゴルゴン侯爵の親戚の嫡男だったもんなあ。

 一派や親戚も、自分勝手な人ばかりなんだね。


「陛下も、ゴルゴン侯爵一派に強気な態度に出るようにしたわ。後ろ盾もしっかりとしたし、遠慮する必要もなくなったわ」

「チャーリーさんやギルバートさん、それに軍の皆さんも陛下を支えるって言っていますもんね」

「あとは、レオ君の存在も大きいわ。変化を生み出せる存在だし、何よりも困難にも打ち勝つだけの力もあるわ」


 王妃様の発言に、ターニャさんとクリスちゃんも激しく同意していました。

 僕はまだまだ子どもだし、そんなに大きな影響力は無いと思うけどなあ。

 そして、その後はグレッグちゃんを中心として賑やかにお茶会が進んでいきました。

 グレッグちゃんはというと、シロちゃんとユキちゃんとお友達になれたのがとっても嬉しいらしく、終始ニコニコしていました。

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