第五百十八話 いよいよ結婚式が始まります

 多くの来賓が教会に集まりだし、結婚式もいよいよ開始が近くなった。

 教会内の準備ができたので、来賓は続々と移動を始めます。

 そんな中、僕たちも結婚式の準備を進めます。


「じゃあ、みんな頑張るのよ」

「頑張っている姿を、私も楽しみにしているわ」

「「「はい!」」」


 モニカさんとヒルダさんも教会内に移動するので、僕たちに声をかけてきました。

 そして、新郎新婦と新婦の父親であるブランフォード子爵以外の面々も教会内に移動します。

 そして、全ての来賓が教会内に入ったところで、僕たちは教会の扉の前に移動しました。

 もちろん、僕たちが使用するものも手にしています。

 花びらが入ったカゴに、二つの結婚指輪が乗ったリングピロー、ウェンディさんとナディアさんは、ライサさんの長いベールを手にしています。

 すると、教会内でアナウンスがありました。


「それでは、これより結婚式を執り行います。先ず、新郎の入場です」


 セルゲイさんは少し固い表情になっているけど、大丈夫かなって少し不安になった。

 そんな時に、マヤちゃんが一言。


「ねーねー、おかおがこわいよー」

「ぷっ」


 どストレートな小さい子の指摘に、ライサさんは思わず吹き出しちゃいました。

 セルゲイさんも、これはやられたって顔に変わりました。


「ありがとうね、もう大丈夫だよ」

「うん!」


 ある意味マヤちゃんのナイスプレーによって、場の空気が和やかになりました。

 セルゲイさんも、マヤちゃんの頭をひと撫でしてから教会内に入っていきました。

 すると、「緊張していねーのか」とか「ちょっと残念」とかの声がかかっていました。

 絶対に中にいる人は、セルゲイさんがガチガチに緊張していると思ってからかおうとしたんですね。

 そして、セルゲイさんが祭壇前に着いたら、今度は僕たちの出番です。


「みんな、元気いっぱいお願いするね」

「「まかせてー!」」

「アオン」


 ライサさんがニコリとすると、ちびっ子二人とユキちゃんが元気よく手を上げました。

 ちょっと緊張気味だったブランフォード子爵も、思わずニンマリです。

 これなら、緊張せずにいられそうですね。


「お待たせしました、新婦とお父様のご入場です」


 教会の扉が開くと、大きな歓声が上がりました。

 僕たちはライサさんとブランフォード子爵の隣にいて、一緒に一礼します。


「「「わあー」」」


 大きな歓声が上がる中、先ず僕たちフラワーボーイ、フラワーガールがカゴの中の花びらを宙にまきながら進んでいきます。

 綺麗に見えるように、僕は風魔法を使って花びらをコントロールします。

 それよりも、笑顔で花びらをまく僕たちに特に来賓の女性が目を細めていました。

 リングボーイのアレックスさんも、リングピローを手にして進んでいきます。

 そして、無事に神父役の司祭様に結婚指輪を渡し終えました。

 一足先に、僕たちはモニカさんとヒルダさんのいる来賓席に移動します。

 二人とも、小さな声で頑張ったねと褒めてくれました。

 一方、バージンロードでは、ちょうどセルゲイさんがライサさんとブランフォード子爵と対面しているところでした。

 セルゲイさんは、ブランフォード子爵と少し話してガッチリと握手しました。

 そして、ライサさんを受け取って腕を組みます。

 その姿を見たブランフォード子爵は、ハンカチで目頭を押さえていました。

 新郎新婦も祭壇前に到着し、ウェンディさんとナディアさんのベールガールの役割も無事に終了しました。

 二人とも来賓席に移動したけど、上手くいってホッとした表情をしていたのが印象的でした。

 いよいよ、結婚式が始まりますね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る