第二百三十七話 頑張ってフレアさんとミシャさんを補助します

 ガチャ。

 ガヤガヤガヤ。


「うわあ、沢山の人がいますね」

「今日は二十人って聞いているわ」

「たまたまだけど、全員女性よ」


 若い人や年配の女性もいて、とっても部屋の中が華やかだよ。

 僕達は、部屋の前の方に移動します。

 すると、若い女性三人組が僕達の事を見てビックリしていた。


「あれ? あの赤髪の背の高い人って「紅のフレア」さんじゃ?」

「じゃあ、その横にいる青髪の人が「双剣のミシャ」様かしら!」

「もし黒髪の男の子が「黒髪の魔術師」のレオ君だったら、本当に凄いわ」


 若い女性が僕達の二つ名を言ったら、何だか部屋の中がざわついてきたよ。

 ミシャさんにも、カッコいい二つ名があるんだね。


 パンパン。


「はい、では薬草採取講座を始めますよ。皆さん、静かにして下さいね」


 おお、流石フレアさんです。

 直ぐに部屋の中が静かになったよ。


「私は、今日の講師を務めるフレアです。半日ですが宜しくお願いします。補助として、ミシャとレオ君がついてくれます」

「ミシャです、今日は宜しくお願いします」

「レオです。このスライムは、シロちゃんです。お願いします」


 僕達が挨拶をすると、直ぐに講座が始まりました。


「では、早速座学を始めて現地での講座に移りたいと思います。既に薬草を何回か採ったことがある方が殆どだと思いますが、復習の意味も込めて聞くように」


 ここで、僕は魔法袋から事前に採っていた薬草を皆に配りました。

 おや?

 何故か僕の採った薬草を見て、部屋の中がちょっとざわついたよ。


「レオ君が採った薬草ですが、とても丁寧に摘み取っていますね。薬草は丁寧に摘むと、品質も長持ちして買取額も上がります。皆さんも、自分がどうやって薬草を採っているか思い返しましょう」


 そっか、僕とシロちゃんはできるだけ丁寧に薬草を採るようにしているから、周りの人が驚いちゃったんだね。


「レオ君みたいな小さな子が、これだけきちんとできるんだ。君達も、意識してやれば直ぐに上達出来るはずだよ」


 フレアさんの言葉を、受講生は真剣に聞いています。

 語りかける様な喋り方だから、とっても引き込まれますね。


「たまに茎にある葉を全て採ってしまう者がいるが、それは駄目だ。半分くらい葉を残しておくと、直ぐに次の葉が生えてくるよ」


 そういえば、この辺りの情報は僕が薬草講座を受けた時にも半分だけ葉を採るって聞いたね。


「では、この後準備をして実際の薬草採取に入る。今日はレオ君がいるから、もしかしたら沢山薬草が採れるかもね」


 あっ、今度は部屋の中にいる人が期待を持った目に変わったよ。

 そして座学が終わると、多くの人が薬草を入れるカゴと紐を買いに行っちゃった。

 僕は予め沢山紐を持っているから大丈夫だけど、他の人は普段そんなに紐を持っていかないんだね。


「レオ君、薬草ありがとうね。レオ君が丁寧に薬草採っているから、良い説明になったわ」

「レオ君がきちんとした仕事をしているから、他の人へも良い影響があるわ。じゃあ、受付に行って受講生の買い物が終わるのを待ちましょう」


 僕達は、受講生の買い物が終わるのを待ってから皆で防壁の門へ向かいました。


「そういえばレオ君、治療院ではどうやって治療していたの?」

「そういえば、最初の治療の時はいつの間にか良くなっていたのよ」


 通りを歩いている時に、フレアさんとミシャさんが僕に話しかけてきました。

 そういえば、最初は広範囲回復魔法で一気に治療しちゃったんだよね。


「えっと、シロちゃんと一緒に広範囲回復魔法で治療院全体を一気に治療しちゃいました。なので、最初は各治療院では一回しか魔法を使っていないんです」

「「「えっ?」」」


 あれ?

 僕がフレアさんとミシャさんにどうやって治療院で治療したかを説明したら、他の人まで固まっちゃったよ。


「レオ君が規格外の魔法使いだというのはミシャを治療した時に感じたけど、まさかあの治療院にいる人自体を一回で治療するとは……」

「うん、やっぱりレオ君はとんでもない魔法使いですね。最初の治療でさえ、他の治療と比べても格段に凄かったのに」


 フレアさんとミシャさんからの感想は、何となくチェルシーさんやブラッドリーさんやシスターさんと同じ物でした。


「そういえば、ゴブリンをあっという間に百体以上倒したって聞いたよ」

「ゴブリンキングも一撃だって聞いたわ」

「有名な盗賊団の首領を、魔法戦で打ち破ったんだって」


 受講生の女性も、僕の噂話をしています。

 この噂話は本当の事だから、僕とシロちゃんは何も言えないね。


「レオ君に喧嘩を売ると、貴族の当主さえ返り討ちにされるんだって」

「とても偉い貴族も、レオ君の言いなりなんだってよ」

「その気になれば、領地を荒廃させる事も出来るんだって」

「あの、僕はそんな事はしませんよ。しませんから!」


 流石に大げさな噂話をしている人には、違うって言いに行きました。

 でも、反論し難い噂話もあったりしたので、皆に納得して貰うのがとっても大変でした。

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