第221話 迷い
─襲撃前─
「本当に、それでいいのか」
扇は、修羅の控え室に襲撃に入る前に、前田と電話でやり取りをしていた。
扇は前田とは、旧知の仲、扇は、『修羅に力を見せる』事を任務とし、前田は『トーナメントの成功』を任務としていた。
相反する任務に前田は、扇とやり取りをしていたのだ。
「俺の駒が負けちまった以上、俺が出張るしかないだろ、先ず天外、陸、阿修羅の予定だったが、すっ飛ばして阿修羅とやり合う事になるだろうな」
「セコンドはボディガードも兼ねている、だが、天外が娘を戦わすかな」
「さぁな、だが、俺がやらないと、修羅と戦う事が出来る奴はいない、お前には迷惑をかける事になるだろうな」
「それは構わないが、本当にそれが正しいのか」
「俺は、そう信じている、少くとも、このままにしておく事には出来ない」
状況は変わりつつある、父であり組織のボスであるチーホイの様体は悪化しており、跡目争いも始まりつつある、その跡目の事で、ボスに対して力技にでる者もいるかもしれない、その中で『修羅』に拘るのは危険だと前田は考えていたが、扇はなかなか飲み込めなかった。
父に与えられた、最後になるかもしれない任務、どうしても完遂したい思いが強くなりつつあった。
「俺の考えじゃ、『修羅』は俺達に有効なカードになると思うから、敵対し、お互い怪我するのは避けてもらいたいんだがな」
扇は、申し訳ないと思いつつも、会話を終わらせた、そして、修羅のいる控え室へと足を進めた。
そして、時は現在。
「お前がか」
扇は、両手のナイフを構えて阿修羅を睨む。
控え室内は、狭いが2人が戦うには問題ない広さであった。
対武器の心得はあり、過去暗器を利用された経験からその意識も問題はなかった。
「お父様は、このじょーきょーで『たたかうのきんし』はないですよね」
天外は、手を組み頷く。
「構わんよ、そっちはいいのか」
「順番が変わるだけ、娘の次はお前だ」
扇は、阿修羅に狙いを定める。
(本当にこれでいいのか)
扇がまだ迷っている中、阿修羅は、素早く横に移動し、テーブルの椅子を掴み、扇に投げつけ、扇は、横に避ける。
その隙に、左の追い突き。
扇は、顔を狙った突きを頭をずらし避け、右腕に構えたナイフで切りつけるが、阿修羅素早く左腕を引っ込めて避ける。
そして、大袈裟に間を外し今度は、阿修羅が思考する。
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