第138話 捕獲
リング中央で片足を掴まれた状態のレオ、天空の右手はレオの左足首を掴んでいる。
押し倒すのか、張り手か、会場が固唾をのんで見守る。
天空の利き手は右手だが、左の張り手が弱い訳ではない。
左を大きく振りかぶり、レオは咄嗟に右手で顔をガード、しかし、右手に伝わった感覚は、打撃ではなく掴まれた感覚だった。
疑問に思い、目線を右手にやるとやはり力強く手を握れている。
レオは、自分の状態を見るのではなく空いた左手で守りを固めるべきだった。
天空は、頭を大きく振りかぶり、レオの顔面、正確には鼻先に自身の額を打ち付けた。
頭突き
力士の鍛えられた硬い額が顔面を捉える、流石のレオも膝から力が抜ける、しかし、倒れる事は出来ない、天空の両手は完全にレオを捕縛しているからだ。
レオの顔面のダメージは大きく咄嗟に手を左手力をいれ上げることも出来ずに、2発、3発と頭突きを食らう。
「レオ、離れろ」
メリッサの叫ぶが、そのアドバイスはより天空の両の手に力を込めるだけだった。
(この状態でそんなアドバイスしかできないなら、レオの敗因の一つはセコンドにあるかもな)
メリッサの熱くなりすぎる様子に天空のセコンド真田は冷静に見守る。
(この様子ならほぼ無傷で二回戦にいける)
真田は、レオの空いている左手を天空がしっかり意識している事を理解し、様子を見守る。
4発、5発、天空は、負傷してなお腕の力でが落ちないレオに驚きながらも、まだ力で振りほどこうする姿にレスラーの意地も感じた。
(片足立ちで力比べで負ける理由はない)
天空はダメ押しでもう一撃大きく振りかぶり、レオの顔面に頭突きをぶちかまし、その血しぶきがまるで噴水のように舞い上がる。
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