愛 ━合気道━

第12話 蕾 前編

 「はーい、皆さん、おはこんばんわ~、愛の伝道師、ジュンジュンです。今日も皆さんに、護身術、身を守る術を教えて行こうと思ってーおります。

 先ずは、恒例のジュンジュン体操から始めたいとー思います。」


 カメラ越しに視聴者に話してかけるユーチューバーのジュンジュン、金髪の伸びた髪、韓流アイドルのように整った顔立ちにはうっすらと化粧がのっている、本名は工藤純、25歳。


 立ち上がり独特のダンスを踊り始める、子供も覚え易くなおかつしっかりストレッチができるように考えたジュンジュンオリジナルの体操だ。


 一通り踊った後に、本編に入る。


 「じゃあ、今日は、後ろからの急に掴まれた時の対策を教えていこうかな~」


 そう言うとアシスタントの女性、大きなメガネに長い髪を後に束ねたたぬき顔の女性、赤井梓が登場し一緒に、護身術を教えていく。



 五分程実践で説明した後に、ジュンジュンはいつものセリフで締める。


 「でも、一番は危ない所には行かない、何かあったら110番だよ、じゃあ、チャンネル登録、高評価お願いしまーす。」 



 そう言うと動画は終わりその動画を満足そうにジュンジュン見ていた。

 「編集もバッチリじゃん、アズ」


 「まぁね、登録者数も上がって来たし、いい調子じゃない」


 「だね、それにー」


 ジュンジュンは、立ち上がり室内を見渡す、床はクッションが敷き詰めており、綺麗な壁紙が貼られている。

 「念願の道場も、オープンだね」


 ジュンジュンは、ついにこの日、合気道道場を始める事となったのだ。


 「長かったねー」

 ジュンジュンは呟く

 梓は、眉間にシワを寄せた。

 「たった、1年じゃん」


 ジュンジュンは、首を降る。

 「違うよ、ユーチューバーになったのは1年でもこの夢は5年かかったんだよ」


 少し梓は、表情が濁る、あの日からもうそんなに経つのかと。



 ジュンジュンがユーチューバーとなり、合気道の道場を開く事となった事件。

 ジュンジュンを深く知るには、時間を5年ほど遡る必要がある。




 

 




 

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