第188話 刃対モード

 駆け寄る刃に、モードは片足タックルを行う。


 刃の右足を抱えるように、掴む。


 空手なら、押し倒せば何も出来ないそう、駆け寄るタイミングなら押し倒すのも容易、しかし、モードの考えは、甘かった。


 刃を組みつかれたが、微動だにしない。


 (俺の体幹を甘くみるなよ、テイクダウンは易易とられん)


 右手を振り上げ、手刀でモードの首筋に狙いをつけ、振り下ろす。

 

 決まる、はずだった。


 モードは、直ぐ様、足を離し回避。


 回避はしたが、距離は近い、モードは手刀の隙に右の虎爪ジャブ。

 左腕で捌く。


 捌くと同時に右の肘、左腕で防御、防御をした腕をそのまま伸ばし顔を目掛け縦拳。


 紙一重で回避、左の拳で反撃、モードは顔をずらして回避、モードは左の膝で返すが、刃も脚を上げ、膝を防ぐ。


 お互い1メートルも満たない近距離での攻防、フットワークもなく、打ち合うが、決定打はない。


 櫂は、ホースと決着をつけ、2人を見守る。


 「ほう」


 思った以上の実力を持つ2人に、少し興味を持ちつつ、邪魔はせず、静観に徹する。


 無駄のない一連の動きのモードだったが、突然、左腕を空中で回転させる。

 違和感、その動作の意図はわからないが、刃は咄嗟に右腕を上げ頭部を守る。


 その動作と同時に、見えない何かに、右腕と左首を強く締め上げられる。


 細く見えない糸、テグスワイヤー。


 刃は、既の所で身を守る事が出来たが、右腕は封じられ、モードもワイヤーを持っている為に左手は封じられた。

 モードは、決め手を欠いてしまった事で、大振りの繋ぎの為だけの攻撃をしかけ、それを刃は左腕で防御。



 (奥の手がワイヤーだけとは思えない、けど、やるなら一撃で決めないと逃げられる)


 刃は、そう思い全身に力を込める。


 

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