第78話 推薦 〜その2〜
「いかがでしたか、彼の様子は」
香港のある高層ビル、その最上階に位置する部屋から見下ろす男に、秘書のような男が訪ねる。
椅子に深く腰掛け、大きな窓から下界を見下ろす神の様な男、逆光からその男の表情も年齢も何もかも見る事も出来ない。
その神の様な男こそ、『裏社会の権力者の1人、チーホイ』、チーホイとは勿論偽名、香港に拠点をおいている以外多くの事は知られていない。
チーホイ又はジーフイ、は知恵、賢いを意味し、その名に恥じない手腕で香港マフィア、アジア圏内の裏社会を支配している。
「『彼』は、今は前田と名乗って日本人をしている、日本は安全な国だ、その刀が錆びらなければよいがな」
チーホイは手上げて合図をする。
それをみて、男は、イヤホンマイクで部屋の外の者に、合図をする。
暫くすると部屋の扉が開き、2人の男が案内される。
二人はアジア系の男性はタンクトップにアーミーのズボンを着用している。
短髪の髪を固めている方の男は右目が赤かったことからレッドアイと呼ばれ、もう1人は金髪の髪を団子に纒めた上げた男タイクーン、2人の男が立っていた。
「まぁ、そう硬くなるな」
チーホイはそう言い2人の緊張を解こうとする。
しかし、両方とも緊張はとかない、レッドアイはいかなる時も緊張を解かない、タイクーンはまたチーホイの恐ろしさを知っている為、畏怖の感情から緊張を解けない。
チーホイはすぐさま本題に入る。
「2人には、日本に行ってもらい、比嘉が主催するバベルトーナメントに参加してもらう、そのトーナメントにも修羅も参加する、修羅には以前の借りがある、その借りをかえさないといけない」
「それと、比嘉はトーナメントを日本人で選抜している、レッドアイ思えも元は日本国籍だろ」
レッドアイは、軽く頷く。
「レッドアイ、お前は今日から『九条』、タイクーンお前はそうだな『山本』とでも名乗ってもらおうか」
二人は頷く反論する理由も意味も意思もない。
そして、2人は部屋を後にする、チーホイが放った2人の男が日本に送られることとなる。
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