第181話 立ち入り禁止
櫂は、通話中でも突然の来訪者にも会話を繋げながらも集中は切らさない。
天上院もその空気感を感じ取り、電話越しだが自分の采配通りに事が進んでいる事を察する。
「安心しろ、覇道流の武田は、安里のボディガードだ、本人にはそのつもりはないだろうが、武田の人の良さを利用させてもらっている」
「こいつが裏切らない保証は」
「『覇道の武田』だからだ、金や自分の名誉では動かん、武田は仁義でしか行動しない、お前も噂は聞いてるだろ」
櫂は納得するしかなかった。
「ったく、で俺は何したらいいんだ、特別にきいてやる、色々借りもあるしな」
─医療関係者通路─
緊急車両の出入り口に、一人の男が佇んでいた。
男の名は、大城刃、バベルトーナメントの候補者であったが、自ら選考を辞退し今は、非常事態に対応する為に警備についていた。
選手の護衛よりも、外敵を倒す為に選ばれた大城は、既にその任務は半分終えていた。
足元には数名の男達が倒れており、その者達は医師の格好を偽装し侵入を試みたのだ。
「本物のお医者さんがこんなごっつい訳ないさぁ、ちょっとは頭使わんと」
意識の無い乱入者に話かける、縛り上げようにも紐はない、誰か来るまで見張っていようそう思っていた所、駐車場側から二人組の男が近づいてくる。
一人は、青い長い前髪の男、少しユッタリとしたスーツを着たモデルのように線が細く格闘家には見えなかったが、もう一人の明らかに違っていた。
タンクトップに、グローブ、剃り上げられた頭の右側面には「馬」のタトゥーが施された浅黒い男。
「これは、一体どういう事だ」
モデルの様な男は、表情を歪める。
思っていた光景と違うそんな様子だ。
「少し問題があったみたいですが、問題ありません、直ぐに対処いたします」
馬のタトゥーの男は、そう言うと大城に近づいていこうとする。
「ちょっとまて、『ホース』」
モデルの様な男は、もう1人をホースと呼び制止する。
「すまないな、少し話をしようか、私の名は、モード、チーホイの子の1人だ、その意味はわかるかな」
「知らんさ、チーホイだが、ちちんぷいぷいだがは、俺には関係ない、ここを通すなって言われただけだからそうするだけ、わかるかわけはねぇ」
大城は、裏の事情などまったく興味はないし、知りもしない、チーホイの名は意味がなかった。
「分かるように教えてあげよう、邪魔をすればタダではすまないって事だ、大人しく通してくれたら、見逃してやる」
「あらん、それは出来ん相談さぁ、俺にもやる事があるからな」
馬鹿な愚か者だとモードはそう思い、ホースに指示をする。
「直ぐに片付けろ」
「はい、5分で戦闘不能にします」
「駄目だ、時間がない2分で叩きのめせ」
ホースは頷き構える。
「舐められたもんだな、これでも、俺結構強いんだぜ」
大城も同じく構えを取る、右手を前、左手を腰の辺りに添える。
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