第132話 試合開始
四角形のリングは金網で閉じられている。
中にいるのは2人の男。
この試合からは、実況が付き、各試合特別解説がつく事となっている。
本来ならば、相撲関係者が席につく予定であったが、先日のトラブルからその席は空席となった。
天空はまだ18歳、今大会の最年少の一人、大勢の観客で戦う事は初めて、少し空気に飲まれないように、真田は気を遣おうとするも、それは杞憂と知った。
体格的には、ほぼ互角、筋肉量で天空が少し大きく見えるが、レオが劣っている訳ではない。
戦いの合図のゴングが鳴り響く。
ライジング・レオは、両手を開き上げ構え、天空のぶちかましを用心する。
横綱のぶちかまし以上とは思えないが、それでも用心しない訳はない。
(受け止めたら、組技から打撃、肘で顔面、或いは、膝で腹打ち)
天空は、ジリジリと間を詰める。
レオは、腰を入れ、タックルに備える。
しかし、天空は、その予想とは違う攻撃をレオに繰り出した。
低い姿勢からの右の中段蹴り。
会場全体が呆気に取られる、それはレオも同じだった、構えていた手に当り、直撃ではなかったが、肩口を狙っていた為、捕獲する事は出来なかった。
会場で唯一、天空のセコンド、真田剣之介だけが驚きはなかった。
真田は、古流剣術を学び、真剣での命のやり取りを経て、現代に武器格闘の再興を考える男、このバベルではセコンドとし、友人の天空を支える為に参戦している。
真田と天空は同じ意見を持っていた。
相撲では、このトーナメントを勝ち抜く事は、出来ない、しかし、それは力士が弱いという事ではない、相撲という枠を外し、相撲を基本とした対異種格闘技を想定すれば力士は誰にも負ける事はないと。
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