第71話 挑戦 〜レオの場合〜 その2

 レオは、リング用マスクをしており、周りから大分浮いているが、本人は気にせずに、同じくステーキを注文する。


 「自分の分は自分で払ってよね」


 メリッサは少し八つ当たり気味にレオを突っぱねるが、レオは余裕を見せる。

 「イライラしてるな、メリッサ」


 トーナメントの件は、もちろんレオも知っているし、それよりも、自身が起こした流血敗北事件が予想以上に世間に届かなかった事が頭を悩ませていた。


 「やっぱり、プロレスの時代じゃないのかな」


 「お前、日本一のシンプロレスのエースでチャンピオンだろ、そんな気持ちだから、ハブられてるんだよ」


 相変わらず手厳しいメリッサだが、彼女なりにプロレスラーとしてのプライドがそうさせてあたるのだろう。

  

 熱い気持ちでぶつかる彼女に初代のライジングレオの面影を見るレオは少し笑みを見せる。


 「俺の付き人がキックボクサーを倒した選考的な意味だと思うが、音沙汰なし、多分俺達プロレスラーが参加するのはかなり無理があるみたいだ」


 アスカは、会話に割ってはいる。

 正直メリッサは感情的になりそうだったからだ。


 「じゃあ、諦めるのですか」


 アスカは、後輩らしく丁寧に質問する。


 試合では、荒々しい彼女たがリングに降りれば普通の女の子に見えた。


 「まさか、考えてはいるさ、それは」


 言い終わらない内に、レオは別の人に会話に割ってはいられる。


 金髪で白いジャージ、幼い顔立ちから、歳はまだ十代に見えた。


 「すみません、もしかしてプロレスラーのライジングレオ選手ですか」


 もしかしても何も、思いきりマスクをしてるので間違えようもないが、見た目とは裏腹に丁寧な態度にレオも礼儀を持って応える。


 「ああ、ちょうど今食事中でね」


 「忙しい所すみません、今日の試合も見てました、応援してます」


 ガチガチのファンが差し出した手をレオは力強く握り返す。

 「せっかくだから、写真撮ってもらったら」


 アスカは、レオに促され席を立ち、ファンの横に立つ。

 ファンは驚いたように、ガチガチに固まった。

 

 「スマホ、撮ってやるよ」


 メリッサも立ちながらファンからスマホを受け取る。


 ファンは、邪険にされるどころか厚い対応に感動し、一緒にポーズをとり、写真におさまる。


 「ありがとうございます」


 ファンは、興奮していた。


 「せっかくだ、インスタとかに上げてても良いから、これからも応援してくれ」


 ファンは恐縮しぱなしだったが、なんとか気を取り直し、挨拶しその場を離れた。



 気を取り直し、ライジングレオは、メリッサに自分のプランを話す。


 メリッサは、少し考えたようにし、口を開く。


 「それじゃあ扉は開くかもだが、その扉には鍵が掛かってるんじゃないか、その鍵を私がなんとかしてやる」


 独特の言い回しだ、レオはそう持ったが自分のプランに穴がある事はわかっていた。

 その鍵をメリッサが持っているなら、託してみても良いかといった気持ちになった。


 そして、レオも肉をほうばる。

 

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