火の鳥 〜女子プロレス〜
第72話 鍵 前編
後楽園ホール、ある格闘技団体の興業が行われていた。
よくある国内の興業、しかし、そのある1試合が注目が浴びていた。
その試合は3日前に決まる異例のマッチメイクとなった。
急な試合を決めた選手、その控室、上半分を隠したマスクをつけた女性、アスカがウォーミングアップをしていた。
本名、今井飛鳥は、女子プロレスラー、しかし、この試合はプロレスではなく、異種格闘技戦であった。
「やっぱり、私がでるべきじゃなかったのか」
メリッサは、少し不安そうにアスカを見ていた。
アスカは、高校卒業し、直ぐに女子プロレスの道を選びメリッサの付き人、弟子のような形で昨年デビューした。
対して、メリッサは高校をボクシング、卒業後には修斗を半年程の経てプロレスラーになった、総合格闘技に対してはある程度心得がある。
「駄目ですよ、姉さん、姉さんは、総合格闘技にある程度成通してますから、姉さんが勝っても『鍵』は開かないです」
「たしかにそうだが」
そんなやり取りの中時間になり、リングに向かう、アスカの対戦相手とは。
女子総合格闘国内チャンピオンの青木静香。
高身長の筋肉に包まれた、女性としては体格が良すぎる彼女は、そのパワーとテクニックをもって国内女子敵無しと言われていた。
急なオファーにも受ける事をしたのは、彼女の圧倒的自身とプロレスラーを舐めていたからだろう。
リングで二人は向かいあう、フィジカル、パワー、テクニックその総てにおいて上回ると思われる国内チャンピオンに、1人のプロレスラーが挑む。
しかし、その無謀とも思える挑戦を、バベルトーナメントの参加者、関係者も久しぶりの国内異種格闘技戦に注目せざるを得なかった。
「姉さん、鍵は私が開けます」
アスカの闘志は最高に燃えていた。
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