戦前 〜各々の日常〜

第91話 不屈の太陽

 大田区総合体育館、自身の試合を終え、控室で会見を見ていた、ライジングレオと、同じく試合を終えた山田、そして、女子プロレスラーメリッサとアスカ、その表情は暗い。


 「名前呼ばれなかったですね」 


 山田は、ポツリと呟く、プロレス記者からの推薦、それを裏付けるために、山田はキックとも戦ったし、アスカもまたプロレスの強さを見せつけた。


 この選考落ちは、山田、メリッサ、アスカを落胆させた

 

 「くっそ、ここまでやっても駄目だったのか、オイ、レオは悔しくないのか」

 メリッサは熱くなり、1人拳を握る。


 「結果は結果だ、しかし、諦めるつもりは毛頭ないがな」


 「諦めないって言っても結果はもうでてんだぜ」


 レオは力強く宣言する。


 「トーナメント参加者を倒し、それを参戦のチケットとする、リザーバーがいない事は、さっき言っていた」


 レオの提案に皆が目を丸くする。


 「といっても、高額で知名度も高いトーナメントですよ、ギリギリ選考落ちした選手も沢山いて、すぐに代わりの候補いるはずです」


 アスカの問いも最もだが、レオは想定内であり、答えも準備している。


 「トーナメントの当日に仕掛ける、それならばリザーバーの準備は出来ないはずだ」


 「で、誰を狙うんだよ」


 メリッサは、ワクワクを隠しきれていない様子で話を進める。

 山田が、独り言の様に意見を述べる。


 「狙い目は、鞍馬、一之瀬、工藤とかいう選手ですか、あとの九条も山本も無名ですが、逆に情報がわからないから不安ですかね」


 「狙いは決まっている」

 「横綱、金龍関だ」


 「横綱…ですか」

 「なんで、また」

 山田とアスカは、まさかの狙い目に同様する。


 「無名の選手を狙って勝ったとしても、対してインパクトにはならない、それに、試合当日狙うなら、一番警備が薄い会場がいいだろ」


 「たしかに、刑務所も巌流島の特設リングも警備は固くなりそうですが」


 「俺だけ一試合多く戦うからな、出来るだけ、始めは、打撃組は避けたいし、『ボクシング対ボクシング』の同競技対決の後に、『相撲対相撲』よりはお客様もわくだろ」


 「それに、角界のトップを倒したとならば、常磐天空も対決は避けられなくなる」


 「たしかに、苦情言って1回戦不戦勝には、しないだろうし」


 「普通なら、体力温存出来たと不戦勝を選ぶ奴もいるかもしれませんね」


 アスカと山田は、レオの方針に相槌をうつ。



 「で、横綱には勝てるのかよ」

 メリッサはイタズラに笑みを浮かべ問いかける。


 「相撲なら横綱が強いだろうが、なんでもありなら俺の方が強い」


 (横綱の体格で勝ちに徹した戦い方を覚えたら厄介だが、初戦なら問題ない)


 レオは、自分に言い聞かせるように、呟く。


 

 

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