第97話 異種 格闘

 四方がコンクリートに囲まれた家具も何もない殺風景の部屋、1人の男は、小さな木の椅子に腰掛けている。


 目線は、唯一コンクリートではない扉を捉えており、一瞬の隙もなかった。


 男の名は、レッドアイ、バベルでは、九条一日の名で参加、チーホイからの刺客の一人で、唯一Sクラス、身長180センチの100キロを超える体格、鋼の筋肉には、強さのオーラを纏っていた。


 「そろそろか」


 九条は呟き、目線の先の扉をが開く。


 視線の先は、5匹の猛犬。

 首輪もつけられず、ゆっくりと5匹の猛犬は部屋に入ってきた。


 目が血走しり、口からは涎がたれており、その犬が尋常じゃない事を物語っていた。


 コンクリートの天井には監視カメラが設置されており、九条の様子を1人の男がモニターしていた。


 チーホイの懐刀である13人の1人、扇(おうぎ)、もちろん偽名で中国人の彼は、剃り上げた頭に、深い一重、セコンドで来ている彼であったが、チャイナ服、(パオ)を着こなす彼は、達人の風格であった。


 「日本で九条とまともにスパーできる奴はそういないだろう、それに、あまり手を見せたくはないからな」


 扇の横には前田が立っている。

 同士にして、同じチーホイの13人の間柄であるがなれ合いはない。

 前田は言葉を返さずに、九条を見ていた。


 猛犬が一匹、九条の首元に噛みつこうと襲いかかる、九条は腰と重心を下げながら拳を猛犬の顎に叩き込む。


 宙で何回か回転する犬に、今度は右足で前蹴りを繰り出し吹き飛ばす。


 他の猛犬その様子を見て、九条の周りにを回り込むように囲む。


 (只の獣が、知恵を使うか)


 九条は、力を抜き、4匹の動きを目で追う。


 その内一匹が、脚を狙うが、脚を上げて避け、そのまま、膝を振り下ろし、膝の力で犬のクビを叩き折る。



 九条の纏うオーラに乱れはない、残り3匹に対しても一切の油断を見せていない。


 


 

 

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