第212話 夢
一ノ瀬は、少し古ぼけた部屋の畳の上に腰掛けていた、目の前に木で出来たちゃぶ台に、古いテレビ自分の家ではない、だが、何処か懐かしさを感じ、ここは、昔住んでいたアパートだと気づいた。
おかしい、確か高校生に上がる前に引っ越してアパートは取り壊しされたはずだからだ。
一ノ瀬は、変だなと思いながらもテレビに目をやり、思い出した、始めて『戦い』という物を認識した時、母親に喧嘩をしてお金を貰えると言われたその時だ。
テレビでは、プロレスの試合が流れていた。
一ノ瀬は、試合を忘れテレビを見る、すると、テレビから一ノ瀬に語りかけてきた。
「いいのか、コノママデ」
「今起きなければ、お前ノマケダ」
一ノ瀬は、不思議とも感じず、返事をする。
「あいつは、強い、多分今まであった奴とは、桁違いだ、俺の攻撃は当たらないし、最後も何食らったのかも分からないし、ボコボコに殴られて嫌になるぜ」
「終わるのか、痛みに負けるのか」
「痛くも痒くもないが、攻撃が当たらないんだ、どうしようもない」
テレビでは、プロレスの試合が流れていた。
「それでも、まだテはあるんじゃないか」
一ノ瀬は面倒くさないなと思い立ち上がる。
「仕方ないな、まぁ、もう少しやるが、次この部屋に来たら横になって寝るぜ」
テレビでは、血だらけの選手が叫んでいたが、その選手が初代レオとは一ノ瀬は知る事はなかった。
レオのマイクパフォーマンスの映像と被るように一ノ瀬を激励する
「試合はまだ終わってないぞ」
北岡は、ニュートラルコーナーのノックアウトのボタンを押すが、カウントが表示されない。
不思議に思うのは一瞬、その理由は、大歓声と振り返った瞬間に理解したからだ。
「まさか、ここまで頑丈とは」
心の声が思わず漏れる。
比嘉泰王も、驚きを隠せない様子だった。
「打たれ強さだけでなく、気絶からの覚醒も早いのか」
覚醒の早さを知るものは誰もいなかった、ただ1人、セコンドの神田を除いては。
(相手がこの事を知らなくて助かった、もし、意識を失ってもそのまま追撃するような、イカれた奴なら終わってたかもな)
北岡は、一度冷めた身体を温める様に身体を動かす様子を観たライジングレオは呟く。
「終わったと思った試合が続くのは、精神的にキツイな」
立てただけだと思う選手、何か奥の手があるのかと勘ぐる選手、戦いは意外な形で、第2ラウンドと流れ込む事となった。
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