第19話 桜 後編 完結編
まるて千秋楽のような熱気に包まれた、相撲部屋で組み合う2人。
横綱大竜関とまだ相撲部屋入もしてない天空、普通なら相手にならない筈だが、天空も粘りを見せている。
渾身の力を振り絞り、強く噛んだ唇から血を流し、鼻の血管が切れ鼻血も流れる。
それでも、僅かにも横綱はビクリともしない、横綱は両の手をふり、上手投げを繰り出す。
天空の身体は、無常にも空を舞い、地面に叩きつけられた。
勝負あり。
横綱は、腰を下ろし手刀を切り一礼をし取組を終える。
「これで私か相撲の代表で問題ないな」
天空は、倒れ込んでいたが、仰向けになり答える。
「いや、やはりあなたは、角界に必要な人、今回のトーナメントの参加は私に譲って下さい」
何故だ、今の取組で勝ったのは自分だ、もっともな事を横綱と親方は思った。
「横綱貴方は、角界の今、貴方が万が一にも負ける事かありましたら、相撲は終わります」
「俺に、相撲を背負わして下さい、必ず相撲の力を証明させてもらいます」
先程負けたばかりの男が、大きな口を叩く、何故かそれが横綱は可笑しく嬉しく思う。
「俺が角界の今のなら、さしずめ天空お前は『未来』といった所か」
相撲の事を考えるなら、膝が悪い自分より、天空に託した方が良いのかもしれない、そう思えるようになった。
「まぁ、いいだろう、と言っても俺がトーナメントの参加者を決める訳ではないだろうが」
横綱はそう言って、手を差し伸べる。
「俺の全てをお前に託そう、必ず優勝しろ」
「約束は、出来ませんが相撲の強さは見せるつもりです、それに俺には心強い味方もいますよ」
そう言って、1人の男を思い出す、始めて本気で、向き合った男、剣客『真田剣之介』、彼なら異種格闘技戦に何かしらの考え対策があるように思えた。
(勝つ為ならなんだって利用してやるさ)
天空は、横綱から託された思いを強く胸に刻むのだった。
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