第136話 攻撃と防御

 コーナーに叩きつけられたレオ、力士の鉄砲で、歯が2本程の口の中で転がっていた。


 コーナーに寄りかかりながら天を仰ぐ、リングを照らす照明の強い明かりに、目を細める。


 (いい攻撃だな)


 レオは、持たれながら、視線を今度は対戦相手の天空に向ける。

 

 天空は、その明らかなチャンスに追撃する選択を選ばなかった。


 相撲の圧倒的な体格とそれを運用する力、攻撃力は他を圧倒するが、代わりに持続力は無い。

 一瞬の爆発で、破壊するダイナマイトのような物である、このまま追撃するには、本人もスタミナを考える必要があった。


 (コーナーでの戦いは、ヤツのほうが上、ダメージを回復されるが、こっちはスタミナを回復させてもらう)


 レオはあえてコーナーから動かない、天空を誘うように、手招きする。


 明らかな挑発に天空はのらない、そりゃそうだろうなそう思いレオは、コーナーから一歩離れる。


 さてと、レオは手を前に出し力比べを要求。


 天空は用心しながらも、それに応えるように手を前に出しながらゆっくりと近ずく。


 会場が静まり返り、2人の掌が重なる瞬間を見守るが、レオは、出した手を引っ込めて、天空のみぞおちに右脚でストンピングを繰り出す。


 直撃。


 動きが止まった、天空に左右の掌底。

 そして、身体を回転させてからのバックスピンナックル。

 初めのストンピング以外は、ダメージは殆どないが、レオは、攻撃の手を止めない。


 (打撃に対しての防御テクニックはあまりないと見た)


 上半身は鋼鉄の鎧と判断し、攻撃を下半身に変更、左ローキックを繰り出すが、右の太ももを打ちつけた時違和感を覚えた。


 (まるで丸太だな)


 思考が脚の戻りを遅くする、天空は、レオの左足首を掴んだ。


 天空の打撃の防御テクニックは高くないが、レオも打撃に特化している訳では無い、プロレスは基本拳の使用も禁止されているし、打撃は投げとの繋や間や変える時に使用する事が多い、それ自体の攻撃としての決定打や熟練度は低い。


 試合の流れは完全に天空。


 掴まれたレオにセコンドのメリッサは、身を乗り出して叫ぶ。

 「振りほどけレオ」


 その言葉に呼応するように天空は掴んだ右手により力を込める。


 (絶好の好機、逃すはずはない)

 

 


 

 

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