第222話 非通知

 いまわたしをねらったこうげきは、きゅうしょじゃなくて、うでをねらってた、『毒』じゃなければ、そのたたかいかたは、ふせいかいだよね?時間がかかれば、それだけじゃまが入るんだから、なんかいやな感じだ。



 阿修羅は、扇の攻撃に違和感を覚えていた、殺意をもって来た筈の乱入者の勢いが見られなかったからだ。


 尻込みしてるとも思えない。


 扇は、動きの止まった阿修羅に斬りかかる、右腕は阿修羅の右の肩口、左腕で下半身を狙う。


 右腕の攻撃は、僅かに下がり、左腕の攻撃は脚を上げて回避。

 扇は身体を回転させながら動きが止まっている、阿修羅の腕を狙う。


 (決まった)


 扇は、そう思ったが、阿修羅はギブスを着けた腕で受け止める。

 受けた瞬間、阿修羅もまた、身体を回転させながら、上段回し蹴りで扇の顔を狙うが、扇はそれを難なく避ける。


 (やっぱりかんたんじゃないよね)


 攻めきらない、腰の引いた攻撃であれば回避も容易、お互い決定打がない、勝負手の無い事が不利なのは扇ではあった。


 (阿修羅が無理に攻める理由はない、しかし、扇の攻撃にも何か迷いのようなモノを感じるな)


 天外が考えると同時に、ポケットのスマホの震えを感じ、目線だけでスマホの画面を確認する。


 非通知。


 こんなタイミングでの着信通常なら無視をする所だったが、何かこの引っ掛かりの答えのように思えて、電話を取る。


 「電話をそのまま、話をきいてもらいたい」


 その声の主は幼く、女性というよりはまだ子供といった感じの声であった。


 「誰かしらんが、何のようだ、今取り込み中だ、話を聞いて、もらいたければ名を名乗れ」



 「私は、チーホイの13人の子供の1人、『一伍(いちご)』」


 「イチゴ、フザケてるのか」


 「ふざけるつもりはないし、イントネーションがイチゴになってるけど、それはまぁいい、そんな事より今の状況をなんとかしてほしい」


 「『今の状況』と言われても、突っかけて来たのはお前達だろ」


 「そうだけど、事情があるの、彼だって迷ってるお互いに悪い話じゃないから、止めてほしい」


 「『止めて』と言われてもな」


 中間距離で攻撃を差し合いをしながら、攻防を見せる、先程か変わらず決定打はない。




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