第117話 それぞれの気持ち

 扇は、リングサイドで横たわる九条を見ていた、自身が管理する裏格闘、アンダーグラウンドのトップ選手、チーホイからの扇への任務は、『大会で自身の選手が優勝する事』『修羅の者達に力を思い知らせる事』の2つ。


 しかし、その内の一つは、失敗に終わる、一時の感情の高まりはあったが、今はもうない。


 全ての任務を完璧にこなす事などは絵空事、失敗もある、一つの事に拘る事は、他の失敗へと繋がる事は、チーホイまた、チーホイの子供達は知っているからだ。

 

 (俺の駒は強い、だが、それ以上に比嘉のトーナメントの参加者が強かっただけだ)


 扇は、そう思い、九条を置いてリングサイドから離れた。



 反対に、阿修羅は興奮し、父天外に駆け寄る。


 「さすがです、お父様」


 「ちょっと、興奮すぎだ、なんだ、もしかして心配したのか」


 「いえ、勝つとはおもいましたけど、やっぱり、強いところみるとやっぱりうれしくて」


 阿修羅にとって父は誇りであり自慢の父だが、世間からは、『戦わずの修羅』『口だけ最強』そう言われる事に少なからず鬱憤は溜まっていたからだ。


 

 Aブロックの第一、第二試合が終わり、戦場は、Bブロック福岡アリーナへと移る。


 現在の時間は正午、第三試合は、十三時開始となる。


 時間まで、まだ少しあるが、第三試合からは地上波からも視聴できる。


 テレビ放送は、十二時となっており、それまでは、前日に行われた選手会見と選手紹介が放送される事になっている。



 Bブロックへと話を進める前に、時を少しだけ戻し、記者会見へと話を続ける必要がある。


 

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