1回戦 第2試合

第107話 控室

 試合開始前、控室にて、修羅天外と阿修羅は試合の結果を見ていた。


 「まぁ、予想通りの結果か、乱破は予想より強かったが、鏡花の方が一枚上だったか」


 

 記者会見の日に、天外は裏方に回った天上院と会話をする事があり、その話の内容を振り返った。


 ロビーでの待ち時間、天上院は天外に伝える。


 「お前の対戦相手の九条並じゃないぞ、油断だけはするな」

 

 「意外だったな、俺の対戦相手はお前になるかと思っていたがな」


 冗談まじりの天外に、天上院は真剣な顔を見せていた。

 「ほんとは、参加するつもりだったんだが、事情があってな」


 「それよりも、九条だが、裏格闘でかなりの強者らしいぞ」



 裏格闘といえ、その実力は計り知れないが、油断もなければ緊張もない。

 身支度を終え、控室から出ると通路に見覚えある男が立っている。


 九条のセコンドの扇は、チャイナ服と黒い丸メガネで天外を待っていた。


 「なんのようだ」


 阿修羅と天外は警戒する、試合関係者に妨害、危害を与えると反則として失格になる事は知っているが、用心に越したことはない。


 「安心しろ、少し伝えたい事があるだけだ」


 扇は、指を指し言葉を続ける。


 「先ず天外お前だ、次は、陸とかいう小僧、そして、最後にお前の娘を狙う」


 天外は表情を変えない。


 「それだけ伝えにきただけだ」


 そう言って踵を返し通路を歩いていく。


 「お父様」


 「心配するな、九条とかいう相手に負ける訳ないからな、お前の前に九条が立ちふさがる事はない」


 (試合前に感情を揺さぶりにきたか下らんやつらだな)


 天外と阿修羅はリングに向かい歩を進める。


 

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