第65話 若獅子 後編


「参加するのはもちろんこの館長であるこの俺だ、異論はないな」


 道場は少し静まりかえり、独特な緊張感が張り詰め、武田と上杉は満足そうに笑みを浮かべた。



 2人は、自分たちを指名しようものなら道場を辞めるくらいの覚悟を持っていた。


 確かに、創設者である宗円の内弟子であり、覇道流三段の2人は実力的経験的には現館長の上総介のより上だろうが、そこは、館長としてのプライドが譲れない所であった。


 横で妻の芽郁も大きく頷く。


 上杉は、ユナイテッドアルティメットで準決勝敗退してるのに理由がある。


 1回戦には、ボブという、最強格の優勝候補を当てられると、2回戦と3回戦は、勝利を度外視した選手は、脚をしこたま削られた。

 結果準決勝には、万全の形で参加する事が出来なかった。


 そのため、上杉は、トーナメントの在り方を少し気にしていた。


 しかし、館長はそこは大丈夫だろう。と伝えた、そこまで俺をマークしてるとは思えないからだ。

 そして、どんな罠が待ち構えても、突き進むしかない上総介はそう持っていた。


 王の覇を持って道を作ってきた。

 

 しかし、力だけでは道を作れないと上総介は思っていた、そして、何かを見つけたかった。

 

 上総介は、大きく深呼吸する。


 「みんな俺についてきてくれ。俺たちの覇道を見せつけてやる」


 その激に、門下生全員が、激を持って応える。


 「「押忍」」


 という、轟音と共ともに。

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