第62話 暴言者 後編

 「ちょっとどういうことなのよ。」


 練習終わりでカフェの打合せに参加した安里涼香は、むくれて柊木櫂に突っかかる。



 「こんな性格悪そうな奴と陽を天秤にかけてるのを櫂君は」


 少し焦ったように否定する櫂は、涼香の圧に圧倒されている。


「いやいやちょっと待てよ。そういうつもりではないし、こいつは個人的には知らない奴だよ」


 しかし、少し得意気に話しを続ける。


「しかしまぁ、ボクシングの金メダリストという分でいい宣伝にはなるよな、アキラはこいつに勝てるか」


 それに石森は答えるにもならない、当たり前だ、そう言ったジェスチャーで答える。


 「アキラ、涼香ちゃんは、アキラがこいつと戦わないで優勝した時はどうなると思う」


 その質問には、涼香が答える。


 「そりゃー、『ボクサーの石森が1番強い』でしょうね」


 「それじゃあ、だめなんだよ」


 疑問に浮かぶ涼香に石森は、答える。


 「『やつは軽量級のボクサーだ。重量級の俺が強いに決まっている。だから俺の方が強い』ってボクサーが出てくる」


 

 「そういうもんなの」

 涼香は、まだフには落ちない様子だ。


 

「実際はわからんけどな。でもアキラにとっても元々も全階級制覇してより、強い相手を探して、総合っていうのもゼロじゃないんだろ」


 櫂はイタズラに言う。


 石森アキラの全階級といっても、骨格や身長を考えた時ライトヘビー級と石森のベスト階級で戦う事っていうのは正直ない。

 櫂はそれで金メダリストを挑発し、同競技なら1回線戦う可能性は高いと考えていた。

 重い階級が強いというものを消すためにも同じ競技のものと戦うはず、そのために櫂は2人を推薦した。


 「普通のヘビーじゃダメだった。やっぱり金メダリストっていう名前大きいメダリストの重量級を倒すことによって、『石森のボクシングが強い』って認識してもらわなきゃなんねえしな。お前にも重量級との戦いを肌で体感してもらいたい」


 そして何よりと、櫂は付け加える。


「俺はあいつの物言いが嫌いそれだけだ」

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