第134話 力

 地面に叩きつける勢いの天空の上手投げ。

 

 ライジング・レオは、投げられた瞬間、左膝で天空のこめかみに打撃を入れ、そのまま肘で受身、勢いを回転で殺し、瞬時に立ち上がる。


 体格に似合わない、その身軽さに、会場は大きくどよめく。


 しかし、セコンドのメリッサ含む、プロレス関係者には、その場飛びムーンサルト・プレスができるレオにとってその身のこなしは当たり前であった。


 こめかみに膝を当てられたが、実際にはダメージは殆どない。


 (ある程度のダメージを与えないと、地面に叩きつける事は難しいか)


 天空は、首を振り思考をかえる、寝かしてからの馬乗りで塩漬けの策には、下準備が必要とする事を知った。


 (まさか、あんな綺麗な蹴りが出来るとは予想外、『相撲』だけで戦うつもりはないみたいだな)



 お互い対してダメージはない、レオは、一度ロープに走り、ロープの反動を使い、天空に身体事ぶつかる。

 

 天空は微動だにせず、近距離戦、左の張り手でレオの顔面を張る、力を込めていないが、それでもかなりの衝撃を受ける。


 そして、右手で喉を捉え喉輪の形となる。


 レオの喉に力をこめる天空だが、抵抗するレオの手が自らの手に絡む前に手を離す。


 そして、左手で顔面に向かい張り手、張り手はレオの上げた腕に偶然防御され、威力は軽減された。


 (そのまま掴むのは得策じゃない)


 セコンドの真田と天空の考えは一致する、横綱と対峙すると決めた時、そして、その後に力士と戦うと時に、掴まれた対策をしていない訳はないと思っていたからだ。


 掴んで折る、掴んで投げるは、ダメージ与え、動きを奪ってから天空はそう思い、右半身に力を込める、明らか隙を生むが今のレオに反撃はない。


 そして、渾身の右の鉄砲をくり出す。


 大きな破裂音と共にレオは、後方に吹き飛び、コーナーポストにぶつかり、その光景に会場は、歓声に包まれた。

 

 

 


 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る