第105話 疑念
バベルトーナメントは、同日に二回戦まで行われ、その後日に準決勝、決勝戦を行われる。
別の会場ではあるか、全ての試合は順番に行われ、各選手にはある程度の怪我に対する処置が行われる。
セコンドは基本1人とし、他の選手への妨害行為は試合権利を失う。
千菊丸は、幼少期の頃から鍛錬を欠かさなかったが、格闘大会などに出ること、表に出ることはいっさい無かった。
ただ一度、中学生の頃に、ある生徒を絞め落とした事がある、その生徒は柔道で県内で有名な生徒であり、千菊丸の事を挑発した事がきっかけだった。
千菊丸は、その事で父に叱責を受け、自分の技を自分の為に使う事は流派の恥だと知った。
千菊丸の攻めは単調、それが今の試合経過で他の選手の共通認識であった。
帝釈は、素早く千菊丸の死角へと移動、千菊丸は全身に力を入れて、相手の一撃を待つ。
技をくらい相手の位置を確認し、『土蜘蛛』を繰り出す、それが、逆転の手。
しかし、攻撃は来ない、帝釈はあえてタイミングをずらし、様子を見ているようだった。
千菊丸は、全身に、力を入れているため、身体を動かして見ることは出来ない、動きで筋力の緊張が抜けた瞬間に攻撃を繰り出されるのは容易に想像出来たからだ。
帝釈は、半身出たち、大きく腰を落とす、左手は真っ直ぐ前に、右手は腰の部分に添えている。
2人の動きが止まり緊張があたりを包む。
微かに、帝釈が動いたタイミングでセコンドの伊藤総理が大声で叫ぶ。
「千菊丸」
その声で、千菊丸は見えない帝釈が見えた。
自身の右側のからへ強力な一撃、頭部、腹部力をいれるが、想像しない感触に襲われる。
頭部を守っていた右腕を掴まれ真下へ引き込み、
その右腕は首元に巻き付け、帝釈は背後に回り、右脚の膝裏を蹴り、片膝をつかした後、帝釈は、地面に押し付けて倒す。
その時がに、千菊丸の左腕も倒れた瞬間に、足を使い抑えこむ。
千菊丸は何が起きたか全く理解できなかった。
自身が、組み伏せる予定が反対に組み伏せられている。
「この技、私しってる」
阿修羅は、控室で見ており、その動きに目を見開いた。
過去に一度、学園で自分がきれて空手部と揉めそうになった時に場を収めた技。
自身が尊敬する人物の1人である、内藤が使った技であった。
「勝負ありかな」
帝釈は空いた右腕で何度も、無防備の顔面に打撃を食らわし始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます