幕間の戦い

第179話 試合後と懸念



 「パパー」


 試合が終わり座り混む、鞍馬にあんりは抱きつく、鞍馬は、動く左腕で抱擁をする。


 その側に七ハも近づき、顎の処置をし、目の様子を見る。


 「どんな感じですか」


 工藤もセコンドの梓の肩を借りながら、心配そうに訊ねる。


 「失明までは、いかないと思うがどうかな」


 「試合での事だ気にするな」


 七ハの返答に動揺見せた工藤に鞍馬は、笑顔を見せ元気づける。


 「そうですか」


 不意にあんりが、工藤の前に立つ。


 「パパに勝ったんだから、ちゃんと優勝してよ」


 工藤は、あんりの頭を軽く撫でる。


 「約束は出来ないけど、全力で頑張るよ」


 

 その様子を見ながら鞍馬は小声で七ハに話しかける。

 「この後、お前大丈夫なのか」

 七ハが裏の人間で、自分の為にセコンドについていた理由じゃない事を察していた、鞍馬は今の結果を心配した。


 「たぶんね、迷惑はかけないさ」



 モニターで、リング上を見ていた前田は、頭を痛めていた。


 チーホイの子として、試合を投げた事への何かしらの処罰があるだろうという事、それが、父チーホイの関与しない所で行われる可能性も考えていた。


 

 トーナメント中に、そんな事があればトーナメントの存続にも関わる。


 今は比嘉の部下それだけは、避けたかった。



 「厄介な事になったって感じだな」


 比嘉は、前田の表に出さない感情を読み取る。


 「お前達のゴタゴタに巻き込まれるつもりはないが、お前自身の立ち位置を示す必要はあるな」


 比嘉は、立ち上がり、スーツに手を通す。



 「俺は今から、リングに上がり、少し話をさせてもらう、その間の警備体制や配置はお前に任せる」


 「その言葉の意味はわかるな」



 比嘉は、あえて警備を前田に一任する、裏格闘の動きを見逃しトーナメントを壊すか、それとも、トーナメントの存続の為にそれを排除するか、勿論何も動きがないかもしれない。


 「比嘉さん、任せて下さい」


 部下だからだけじゃない、前田もまた、このバベルトーナメントを最後まで見届けたかった。


 比嘉が部屋を出ると、前田は直ぐにスマートフォンを手に取り、警備を取り締まる天上院我狼に連絡を取る。


 

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