第2話 心 中編
理央は突然の歓声に、リングに目をやった。
先程まてリングの中にいたライジングは、リングの下に落とされ、グラン浜元が二人の外人レスラーに捕まっていた。
そのまま、ロープに振る。
浜元は、ロープに向かって走り、反動でもといた場所に戻りながら、姿勢を低くし腰部にタックルをし、2人を押し倒す。
浜元は、立ち上がり、大きく声を上げる。
そのタイミングで試合開始のゴングが鳴り響く。
先程まては、グランはただのオジサンだったが、ゴングがなった後は、独特のオーラをまとっている。
倒れた2人の1人をリングの下に押し出す。
残ったケーリンを捉えて、逆水平チョップを繰り出す。
打撃に合わせ、観客のテンションも上がっていく、数発相手の胸元に当てた後に、右手を大きくあげて、アピールする。
その隙にケーリンが、グランの右膝にトーキックを放つ、大きな音がなったが、打撃の音ではなく、蹴るタイミングで地面を強く打ったのだ、見た目以上のダメージはないはずだが、グランは足を抑える。
その隙に、今度は、バードがロープに走り反動をつけてグランにラリアットで反撃する。
ダウンしたグランに踏みつけて追撃する。
その後ろから、リングに戻ってきたライジングが割ってはいる。
歓声がひとしお大きくなる。
理央は、目の前で殴る蹴るの光景をしたが、心の中では恐怖ではない別の感情が産まれるのを感じた。
そして、何故か涙が溢れてきた。
目の前で起こっている暴力は自分の知っている暴力とは、違っていたなぜか、心の中が熱くなってきているのを感じている。
涙で試合は、所どころでしかみえない。
バードがバックドロップで後方にレオを叩きつける。
それをケーリンが場外に、引きずり下ろし、椅子を使いレオに叩きつける。
何度も何度、椅子で殴打されるレオに歓声、声援がより大きくなる。
その声援は、まるで地響きのように、会場を包み込んでいる。
レオを応援する声に、気づけば理央も参加していた。
何年ぶりだろうか、感情をだして何かをするのは。
ライジングレオは、声援に応えるように、立ち上がり大きな声で叫ぶ、ケーリンがその動作に圧倒されると、レオはDDTでケーリンの頭を場外に打ちつける。
ケーリンは、大げさに痛がり、地面に倒れた。
レオは、そのままリングに上がり、バードに向かい合う。
身長差は大きいが、レオから発するオーラが、よりレオを大きく見せていた、見劣りはしない。
二人はリングで組み合う、力比べだバードがロープに押し込む、レフェリーは間に入ろうとするも、その前にレオは体を入れ替えてから、ロープに振る。
戻ってきたバードにドロップキックを打ち込む、倒れたバードを引きおこし、バックにとらえる、体重差もあるが、地面から大木を引っこ抜くようにレオはバードを持ち上げる。
一度、高く持ち上げてから、バックドロップの形で地面にたたきつける。
観客の誰かが大きな声で叫んだ。
「ライジングジャーマンだ」
そのまま、レオは体を固定しフォールする。
レフェリーはリングを叩きながらコールする。
「ワン・ツー」
ツーとスリーの間にほんの少し力をためる、観客もその手に大きな注目をし、最後のコールは全体で行った。
「スリー」
勝負は、ライジング組の勝利だ。
ふらつきながらも、ラインジングはそのまま、マイクを握り、観客にアピールを行なう。
「あーっ、今日は、みんな応援ありがとう、今日ここにいる皆様の中には、つらい状況にいる人もいるかもしれない、でも、今この時、少しでも楽しめれたら、楽しんで頂いていればと思います、明けない夜はない」
そういうと一拍おいて拳を握り天に突き上げると同時に大声で叫んだ。
「ラーイジング」
観客が1つになり、興行を終える。
その光景を目に理央はある決意を胸に刻み込むのであった。
(あの人のようにプロレスラーになりたい)
~後編へ続く~
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