第214話 捕獲
ソバットを含む、一連の動きに、始めにタネが分かったのは、同じプロレスラーはライジング・レオであった。
レオ・ステップからの動きに、コピー能力を知る出場選手はレオの動きをどこかでコピーをした、レオと繋がっているのかと勘ぐっていた。
「あの一連の動きは、俺のじゃない、初代が得意としてた『型』だ」
そこは、メリッサも思っていた。
「だよね、細かい所は、アンタよりも初代的な感じする、でも、逆になんで、何十年も前の動きで戦ってるのよ」
「一ノ瀬は、多分技をコピー出来るけど、その期間は短いんだろうな、だが、幼い頃に観たのはインパクトがあって覚えてるのか、それとも、細かく思い出したのか、分からないが」
疑似プロレスで対打撃、いい情報になるレオは予想外の収穫に笑みを浮かべる。
やり辛さを感じた北岡だが、しかし、それは初手のみ、北岡はフットワークを取り、気持ちを落ち着かせた、やる事は変わらない、打撃で距離を取りながら試合を組み立て直す事を考える。
一ノ瀬もまた、ステップを止め、中腰で構える。
胴タックルからバックを取ろうという意図は、レオしか予想していなかったが、タックルから組み技という部分は皆が容易に予想していた。
北岡も、そのタイミングに集中する。
(向かってこい、その顔に膝をお見舞いしてやる)
ジリジリと間合いが狭まる、後出しでも打撃が有利、気をつけるのはタイミングをずらされるだけ、そう北岡は考えていた。
勢いをつけ、身体をぶつけるように動く、北岡は身体を反応させるが、一ノ瀬がぶつけるのは、身体ではなく、左のオーバーハンドを北岡の顔面に向けて繰り出す。
北岡の攻撃よりも先に、一ノ瀬のオーバーハンドが顔面を捉えた。
組み技と見せかけた打撃、一ノ瀬の裏をかいた戦術が、見事にハマる。
そのまま、組み付みつき寝技に持っていければ、良かったが、流石にそこは、距離を取り北岡は回避しよう北岡だが、右ストレートを出しながら追撃をして来る。
首を振り攻撃をいなす、回避出来たが、コーナーを背にし一ノ瀬と北岡の密着状態となる。
一ノ瀬は狙いは、これであった。
一ノ瀬は、右腕で北岡の左腕、右脚を使い、北岡の左脚を押し付け動きを止める。
密着させての捕縛、北岡の動きは完全に止められてしまう。
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