第197話 所見
Aブロック 修羅 天外 控室
「まだ、そこはみせてない、だげきだけとは、かんがえられない」
阿修羅は、呟く。
「ああ、『ベアナックル』ってのは、取ってつけただけだ、間違いなく、九条の身内の1人だろ、という事は、投、締めも使えると思った方がいいだろうな」
Bブロック 石森 陽 控室
「やはり、初戦でこの山本と当たらなかったのは幸いだったな」
「なんで、ボクシングみたいだから、やりやすかったんじゃない、素手でも当たらなかったら意味ないし」
石森も考えを涼香は疑問に思った。
「本当にベアナックルならな、俺の今の見立てだと山本は、ベアナックルっていうより総合格闘家に近いと考えている、武田さんはどう思う」
櫂は、短く涼香に答えるが涼香はあまり納得してなかった。
櫂の情報には、ベアナックルの山本なんて入っていない、ベアナックルの日本人選手も頭に入っているが、そこに山本なんてなかった、裏の選手を無理にねじ込んだのだろうと、裏の選手で秦王が頷く選手、打撃一辺倒の選手のはずがないからだ。
「戦い方を見れば打撃だ、ハッキリとは俺には断言出来ないが、違和感があるな、奥の手があるのは間違いない、それが何かまでは」
館長は気づいているだろうか、武田は心配し、画面がアップになった時に、その心配は確信に変わってしまった。
武田は不安を覚えたが、石森と櫂は、口元を緩めた、それは、山本が予想以上の強者とわかったからだ。
上総介の腕が赤くなってきていた、同じ場所に適格に打撃を当てている事に気づいたからだ、弱い打撃でも素手で同じ場所に打撃を重ねていけば、ダメージは蓄積されていく。
打たれていた上総介も棒立ちではなかったが、上総介が半歩下がれは、山本は半歩進み、上総介が進めば、下がる。
相対的に間を調整していた。
近距離でも、遠距離にもならない、ジャブとストレートの間、中間距離を保持していた。
「動く相手に、適格に撃ち抜く攻撃精度か」
リングに場面は移る。
(こいつ、同じ場所に適格に打撃を繰り出しているのか)
上総介は気づき、微妙に腕を動かすが、山本はそれでも正確に同じ打撃を当てる。
山本は思った。
(対した奴じゃない、このまま一度腕を殺してから、止めだ、余力を残し、手の内を見せずに次の試合に進める)
安易に貰いすぎている、牽制でも手を出すべき、セコンドの芽郁は声を上げる。
「上、手を出して安易に貰いすぎてる」
芽郁の言葉にも、上総介はまるで岩のように動かない。
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