第87話 B、Cブロック 対戦カード発表

 BブロックとCブロックは、同じ試合会場、福岡、福岡アリーナである事を比嘉はメディアに伝え、続けて対戦カードを発表する。


 

 「一回戦、第三試合、ボクシングライトヘビー級金メダリスト、岩田貴明、対同じくボクシング、元バンダム級、石森彰」


 「一回戦、第四試合、相撲、横綱大竜関、対、同じく相撲、常磐天空」


 異種格闘技大会の一回戦で同競技の顔合せに会場はどよめく。


 このカードに岩田は、テレビの生中継の企画で見ており、すぐさま女性レポーターから質問される。


 「岩田選手、対戦相手が同じボクシングとなりましたが、今の心境はいかがでしょうか?」


 岩田は、余裕の笑みを見せ答える。


 「初戦の相手として、少し物足りないのが本音、まぁ、本番は次の相撲、横綱になるのかな」


 

 この中継は、勿論、石森と櫂も練習の合間に見ていた。


 櫂としては、望んだカードとなった。


 「俺の予想どおりになったな、一回戦の合間は同じボクサーだ、嫌、同じではないな、お前とアイツじゃ格が違う」 


 また、櫂には別の思考が頭をよぎる。


 (一回戦から、組み技主体と当たらなかったのは幸運だ、他の選手の対組み技と、組み技組の対戦打撃も見れるんだからな)


 石森は、自分の拳を握り、不安を押し殺す、いくら鍛えたとはいえ、怪我上がりで初の試合、しかも、階級も違う、勝ち進めば相手は、関取、不安にもなるが、それを超える楽しみも石森の中に、湧き上がってきたのも事実。


 「そうだな、とりあえず快勝してトーナメントに勢いつけようか」




 「続きまして、Cブロック」


 「一回戦、第五試合、柔道、100キロ級金メダリスト矢野虎次郎、対、喧嘩空手、熊殺鉄矢」


 「一回戦、第六試合、レスリング、鞍馬一仁、対、合気道、工藤純」


 メディア関係者は、聞き慣れない名前である熊殺と、工藤純に少しざわつく。

 

 「質問は後から受け付けいたしますので、皆さんお静かに」



 「このトーナメントに、相応しくない者はいません、皆強者である事は先にお伝えさせてもらいます、では、続きまして」


 比嘉のマネージャーが場を収め、それに一礼し、比嘉は発表を続ける。


 全国中継されるこの発表に、皆の期待感が否応なしに高まっていた。

 

 


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る