第165話 力と技

 鞍馬は、黒と白のレスリングタイツを身に着け、腕を組んで立っている。


 セコンドの七八の方が緊張しているのは、初戦でまさかのレッドアイが敗退している為だ。

 正直タイクーンよりもレッドアイが強い、七八が知っている中では、最強ではないが上位クラスで間違いなかったからだ。


 (もしここで、こんなチンチクリン相手に、負けるようなら色々腹を決めないいけない、頼むぞ、鞍馬の旦那)


 はち切れんばかりの筋肉の鞍馬とは対象的、少し線の細い工藤純、今からこの2人が戦うとは想像できない。


 試合開始の合図がなり、お互いがゆっくりと構えをとらずに距離を詰める。


 そして、工藤は手を前にそえて構える。

 

 

 鞍馬はアップサイドに構えてから、タックルではなく、右の大振りのフックを仕掛ける。


 工藤は、それを難なく回避する、一つ呼吸、思ったより身体は硬くなっていない事に安堵する。



 鞍馬の攻撃は単発。


 まだ、試合は始まったばかりだが、ある情報を知っている天外は、モニターを注視し、阿修羅に伝える。


 「この試合、思った以上に収穫が多いかもしれんぞ、阿修羅」


 その父の言葉に阿修羅もまた、より集中し試合を観るように心がける。


 2発目のストレートを繰り出した、鞍馬の手を取り、工藤は地面へと叩きつける。


 ダメージは無く、直ぐに立つ、鞍馬。


 力対技の戦いが始まる。

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る