第60話 選考会議 その2
「大龍関と天空は両方、参加してもらおう」
秦王の提案に、前田は眉をひそめる。
人数制限のある異種格闘技トーナメントに同じ格闘技を2選手を出すのは勿体ないと感じたからだ。
「相撲2人はどちらか選抜、或いは大龍関の方は相撲は強いが、異種格闘技戦向けではない、それなら天空の方が強者として相応しいかと」
秦王は、それを却下、世間的には横綱大龍関、運営的には天空だ、どちらなら、利は半分になるリスクは避けたい、それなら両方。
「世間的にというなら、プロレスからは、推薦者がいても選考すらなしというのは」
この選考会議には、その筋や格闘関係からの推薦も自薦の無名の格闘家も選考されているが、例外としてプロレスラーは排除されている。
元プロレスラーは可だが、元格闘の現プロレスラーは却下されている。
「このトーナメントは格闘技のトーナメントだ、ブック通りに戦いごっこをする輩は、格闘家じゃなく俳優だ、お前はこのトーナメントに『アクション俳優』を出すつもりか」
しかし、納得は出来ない前田は、食らいつこうとするが、それを目の前に書類を投げ渡し指示する。
「同競技者は、相撲だけじゃない『ボクシング』もだ、俺も外すか迷ったが、ミャンマーであった柊木からの推薦だ、あいつはボクサー2人を推薦してきた」
「飲むのですか」
「あいつには、借りを作っておいて損はなさそうだからな、多分あれも俺と利害が一致するはずだ」
そう言って指示を続ける。
「メダリストのボクサー、岩田に会って話を聞いてこい、トーナメントにでる意思があるか確認してこい」
その指示に前田は、席を立つ、枠が勿体ないと思いながらも、秦王が認めた男が推薦した2人の男、資料には、石森と岩田とある。
興味が沸かないといえば嘘になる、いつもより足軽く仕事へと向かう。
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