第67話 ルールと選手発表 その2

 ルールを説明する前に、比嘉秦王は大きく呼吸を整えた。


 空調の音しか聞こえない、そんな、緊張感の中、話を始める。


 「ルールは、目潰し、金的ありのなんでもありだ、ダウン後の追撃、寝技はあり、また、ラウンド制は廃止し、無制限とする」


 「勝敗の決着は、ダウン後のカウント20までに立ち上がれないノックアウトとセコンドによるタオル投入によるギブアップのみ」


 「先述した通り、寝技とダウンの追撃は問題ないので、ダウンカウントをする場合は、倒れた選手から離れたニュートラルコーナーに戻った場合のみダウンカウントをとる」


 記者の1人が挙手し、質問をする。


 「レフリーの存在とそれ以外の試合決着例えばドクターストップはあるのでしょうか」


 比嘉は紳士的に応える。


 「レフリーはリング上には、存在しないリングサイドに四人審判を配置する、その3名が試合を一時中断する権利ドクターストップの権利を有する」


 「しかし、ドクターストップは、選手の状態をセコンドに伝える、或いは10分間、必要最低限の処置を行うだけで、試合そのものを止める権利はない、あくまでもセコンドに判断してもらう」



 モニター越しに見ていた、櫂は石森に、真剣な目で伝える。

 「極められたら折れる、締められたら落とされると思った方がいいな」


 「打撃專門には、些か不利か」


 石森の返答に、櫂は笑って応える。


 「まぁ、その限りではないが、捕まる事は避けたいな」


 (と言っても、初戦で横綱や金メダリストの柔道家とぶつかるのは避けたいな)


 そのルール発表に、臆した者は、誰もいなかった寧ろその内容に、心が熱くなっているものが、殆どだった。


 戦いの始まりが近い、その事にまた、格闘家達は心は踊った。

 

 

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