第89話 Cブロックカード発表の裏側 その2
過去の人間、乱入してきた男達のボスであり、頬のコケた男、細谷の吉田と鉄矢の認識はそれであった。
細谷は現在、組の裏格闘で最近名をあげて来ており、自身が囲う『駒』には自信もあった。
裏格闘で、名を馳せる一之瀬なら理解できるが、よもや一線を退いた鉄矢と、阿修羅に負けた吉田が参戦する事が納得出来てなかった。
細谷は、参戦する事を知りそれを利用する為に襲撃しに来たのだ。
「バベル参加おめでとう、よもや、お前さんのような…」
細谷の話の途中で、右側に位置したジャージの男が吉田に胴タックルを敢行した。
細谷の話は、油断を誘ったのだが、吉田はまったく問題なかった。
タックルに対し、微動だにせず、右腕を高く天に、上げてから、首筋に手刀を叩き落とす。
その強力な一撃に鈍い音ともに、男は地面に力無く倒れ込む。
もう一人の男も、数的優位か無くなるやいなや、直ぐ様攻撃に移る。
走り間合いをつめて、右ストレートを繰り出すが、吉田は、慌てずにその右ストレートを左腕で捌き、男は態勢を崩した。
吉田は空いた右腕で、顔面を掴み、敢えて突きを行わずに、万力の力で締め上げる。
男は、焦り両手で右腕を掴み外そうとするも、びくともしない。
(その程度か)
吉田はそう思った、実際なら空いた手で、反撃するべきだが、本能が守りを選んだ事に、吉田は少し肩透かしを食らう。
そして、徐々に力を入れて相手の戦意を奪っていく、そこに、力を溜めた渾身の左を顎に叩き込み、その威力は顎を外す事となる。
圧倒的な実力に細谷は、狼狽する。
(まさか、俺の最強の駒がこんなにあっさり、吉田は阿修羅とかいうガキに負けたんじゃないのか、そんな奴がこんな強いとかありえるのか)
「腕はなまってないようだな」
鉄矢は、満足そうな表情を見せる。
吉田は、足りないといった様子で握った拳を見つめていた。
そして、一言。
「俺が参加する文句はないな」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます